アラス・デ・ピルケは、チリ・アンデス山脈のふもとに広がるマイポ・ヴァレー、ピルケ南西部に位置し、600haの敷地で牧場とワイナリーを経営しています。「アラス」とはスペイン語で「馬牧場」という意味。1892年に設立された、チリで最も歴史あるサラブレッド牧場でもあります。

2002年にチリでの高品質なワイン造りを目指していた、スーパータスカン、ソライアを有するイタリア名門ワイナリーであるアンティノリが、アラス・デ・ピルケとジョイントべンチャーを開始。2014年以降はアンティノリが、アラス・デ・ピルケワイナリーを100％取得し、アンティノリを牽引するエノロゴ、レンツォ・コタレッラ氏により、現在イタリアとチリのエッセンスが融合した他にはないユニークなワインが生み出されています。

アラス・デ・ピルケのブドウ畑が位置するのは、サンチャゴの南、アンデス山脈を起源とするヴァレ・デル・マイポ川を有するマイポ・ヴァレー。今や「ラテンアメリカのボルドー」という異名をとるほど、条件に恵まれたワイン産地として知られています。畑はアンデス山脈に隣接している影響により、雨の少ない地中海性気候であると同時に、開けた渓谷を通り抜ける太平洋高気圧の影響も享受。そのため、双方の特徴を有する独特な気候条件を持っています。

土壌は火山の噴火により発生した崩積土で、粘土質主体に様々な特質の土が混ざり合い、変化に富んでいるのが特徴。また、地形により昼夜の寒暖の差は20℃にもなり、この温度差によりブドウはゆっくりと時間をかけて生育し、品質の高い果実を得ることが可能になるのです。

アラス・デ・ピルケでは、有機栽培を実践しており、オーガニック認証を取得。収量のコントロールと果実の最適な熟度のためキャノピー・マネジメントを継続的に行い、手作業での畑の管理を徹底しています。

栽培形式はVSPシステム（ブドウの芽を垂直に仕立てる方法）を採用し、通気性の良さと日照を確保。通常5月中旬に収穫を終え、剪定を始めますが、その時期に枝葉部分の向きを調整し、最適な条件で収穫に臨めるよう10月以降は灌漑による適度な水量調節と有機肥料の使用を始めます。収穫は手摘みで容量15kgの小箱を使用。小箱で収穫を行うことで、ブドウ果実は鮮度を落とさず本来の品質が発揮できるよう、完璧な状態でワイナリーに搬入することが可能になるのです。

ガランタス・カベルネ・フランは、マイポ・アンデス渓谷のカベルネ・フランにカルメネールがブレンドされた、アラス・デ・ピルケの上級キュヴェです。夜間の冷涼な気候を持つ海抜700mの丘陵地帯で造られるワインは、活き活きとした果実味とフィネスを纏ったエレガントなスタイル。こうしたワインを造り出すのに適した品種がカベルネ・フランだったのです。

手摘みで収穫したブドウは区画や品種毎にステンレスタンクとフレンチオークの大樽に入れ、アロマを最大限引き出すために3～5日間の低温浸漬を実施。発酵は自然酵母のみを用いて行われ、その後、フレンチオークにて14ヵ月間の熟成を経てリリースされます。

紫がかったルビーレッドの色調。グラスに注ぐと、ブルーベリー、ブラックベリーなどの黒系果実の濃密で香り高いアロマに加えて、コショウのスパイシーなニュアンスが漂います。口に含むと、質の良いタンニンを備えたジューシーかつしなやかな、肉付きの良い味わい。円みのある上質な酸と、フレッシュな赤系果実のフレーバーが濃厚な味わいに爽やかさを与え、長い余韻へと導きます。丘陵地帯に位置する冷涼なマイポ・ヴァレーのテロワールと品種の個性を見事に表現した、エレガンスとフィネスを感じる仕上がりです。