みなさま、こんにちは。大名古屋ビルヂング店 鎌田でございます。

ワインに求める理想とは人それぞれにあるかと思います。

魅惑的で幻想的な香り。舌が蕩けるような甘美な味わい。

いずれもワインの持つ素晴らしい特長のひとつであり、それらは重なりあうことでさらに陶酔すべき体験へと飲み手を導いてくれます。

そして、めくるめくような鮮やかな色調もまたワインの世界へと我々を深く誘う大切な導入部でございます。ワインの色調は様々に表現されますが、必ずしも名が実体を表しているわけではないと思う時があります。

赤ワインは黒みを帯びた紫色といったほうが正確であるし、白ワインも純白ではなく緑がかった黄色であることが大半です。

無論、ものの名前というのは、それが何であるかを共有するための識別記号なのだから、多くの人がイメージしやすい名称が選択され、広く使われるようになることは必然で、その意味においてオレンジワインなどは名が実体すら伴ってワインのメイキングスタイルに大きな影響を及ぼしているかもしれないという話は以前に少し触れました。

ただ、時に本質というものは言葉の持つ意味を超えた先にこそ宿るのではないかと思うこともあるのです。

ひとつのイメージが脳裏に克明に焼き付いて離れません。

白ワインの神髄を宿した色合いを思い描くとき、頭にはっきりと射し込む一条の光。

黄金色に輝く眩いばかりのあの煌めきに、私は白ワインのひとつの理想形を見るのです。

ワイン醸造の方法論は数多あれども、美しい黄金の液体を得るためには土地の力、すなわちテロワールが不可欠ではないでしょうか？

偉大なワインは偉大な土地から生まれる。神に選ばれし土地とすら称されるブルゴーニュにおいても、遥かな昔より語り継がれる白ワインの銘醸モンラッシェ。

その名を冠するグランクリュは５面。その中より今回は皆様にバタール・モンラッシェのワインを生産者別の２種類ご体感頂きたいと考えました。

近年、気候変動はワインの世界にも重くのしかかってきています。偉大なワインを生んできた銘醸地はいつまで変わらずにその個性を宿し続けられるのか。

これからもずっと同じ品質を保ち続けられるのか。

混迷の時代のなかで答えはいまだ誰にも見えておりません。

ただ、素晴らしいワインを育んできたテロワールの力はそう易々と失われたりしないのではないでしょうか。現代を生きる我々は変わっていく現実と向き合いながらワインを飲んでいかなければなりません。しかし、変わりゆく気候に対して土地は不変です。

偉大な土地はなぜ偉大であったのか。気候変動の時代だからこそ見えることがあるかもしれません。テロワールの恩恵を受けた実り豊かな白ワイン。

その究極の理想像のひとつを是非飲みにきてはみませんか？

皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。