ヴォーヌ･ロマネ レ･クロ・ゴワイヨット

ドメーヌ・プリュ―レ・ロックは、アンリ・フレデリック・ロック氏が1988年に創立したドメーヌ。
当初ヴォーヌ・ロマネに設立されましたが、
1989年にニュイ・サン・ジョルジュの街中に醸造設備を備えたドメーヌを、
プレモーに樽貯蔵庫を持ちました。
ロック氏はあのマダム・ルロワの甥っ子、アンリ・ルロワ氏の孫にあたり、
1992年からドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)の共同経営者を務める人物。
比較的新しいドメーヌでありながら、ロック氏のその血統、ワイン造りへのポリシー、
造り出すワインの味わいが評判を呼び、一気にプレミアが付く超人気ドメーヌとなりました。

ロック氏はDRCの醸造責任者ベルナール・ノブレ氏のアドバイスを受けて古文書を研究し、
700年以上前にシトー派の修道士が行っていた
有機栽培を復活させ、醸造法にも伝統的手法を採用。
「この手法は微生物を活性化させることにより肥沃な土壌を維持し、
宇宙の摂理と調和を目指した栽培方法だ。」 とロック氏は語っています。

ラベルには、自然（神）と人間の両方の力によってワインを作り出すという
ロック氏の考えに基づき、エジプトのある古文書に由来しているロゴが描かれています。
左側にある緑色の包丁を立てたような模様はブドウの樹、
下に描かれている3つの赤い丸はブドウの実、右上の黄色い楕円は神、
その下の黄色い楕円は人を表しています。

「ワインの品質の8割はブドウで決まる。」という考えのもと、
最高のブドウを作るため、肥料にはわずかな量の有機肥料を使用、
除草剤、化学肥料などは一切使用しない、有機無農薬栽培を実践。
収穫は全て手摘みで行い、厳しい選果を経て醸造へと回されます。

収穫したブドウは選果した後、房ごと発酵槽に入れ、
木樽を使用して自然酵母のみで発酵。
醸しは今もなお人の足でブドウを潰して行うという古くからのワイン造りにこだわり、
澱引きもせずノン・フィルターで瓶詰めをします。
この間、酸化防止剤のSO2も一切添加しない伝統的な手法を厳格に貫いています。
熟成にはフランスの樽材の中でも最高品質のトロンセ産を使用。
DRCが50年以上前に現地で買い付けをし、
20～30年長期乾燥させたものを共同使用しています。

造り出されるワインは、ビオディナミならではの野生酵母の香りが特徴。
時間の経過と共に、バラ、ベリーなどの華やかなアロマが現れ、
口に含むと、柔らかな質感とじわじわと舌に染み込んでくる旨みは、
純粋なピノ・ノワールの魅力を感じさせてくれます。
ドメーヌ・プリュ―レ・ロックの造り出すワインは、
思わず「大地に感謝したくなる」ような味わいです。

こちらのヴォーヌ・ロマネ・クロ・ゴワイヨットは、ヴォーヌ・ロマネ村の中心部に位置し、
プルミエ・クリュ、レ・スショの麓に位置する、わずか0.6haの村名畑です。
この畑は、コンティ公がヴォーヌ・ロマネで最初に手に入れた由緒ある畑として知られています。
元々ロック氏の母が4分の1を所有し、残りはドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティが所有していました。
この畑を買い取り、1988年からモノポール（単独所有）としてリリースしています。
この畑は、ロック氏にとって特別な畑。初めて「ワイン造りに携わるのは運命だ」と
感じたきっかけは、この“クロ・ゴワイヨット”の畑に足を踏み入れた瞬間だったといいます。
プリューレ・ロックにとって、この畑は“運命の畑”とも言える重要なものなのです。
ブドウ樹の樹齢は、現在およそ46年程度。
村名クラスの格付けながら熟成にも向き、芳香と複雑味に溢れるワインを生み出します。