ミラノ・スカラ座にも認められたフランチャコルタの名門、ベラヴィスタ。そのオーナー・ファミリーであるヴィットリオ・モレッティ氏と、愛娘フランチェスカ女史が、トスカーナに建てたワイナリーがペトラです。ワイナリーのスタートは買収から始まる生産者が多い中、「すべてをゼロから作り出して自分が表現したいワインを造りたい」といったヴィットリオ氏の哲学から新たなワイナリーがゼロから作り上げられました。

ペトラがワインに使用するのは、ボルゲリから僅か15kmの距離にある、トスカーナ海岸地帯コルニア渓谷のスヴェレートの自社畑。高いポテンシャルを持ったワインを造る為、土壌の構成要素まで細かく分析を行い入念に区分けを実施しています。クエルチェゴッべの使用区画は、ボルドー右岸を彷彿させる鉄分が豊富な粘土と砂の混ざる土壌。まさにメルロを育てるのに絶好の環境です。ブドウは土地の力を最大限に引き出すためオーガニック栽培により育てられ、収穫は区画ごとに最適なタイミングを図り、すべて手作業で行われます。

クエルチェゴッベは、海に面した丘に位置する畑で、イタリア語で「曲がったオーク」を意味しています。名前は、畑の柵が風によって曲がったまま成長したオークから造れたことが由来。2009年のヴィンテージでは、クエルチェゴッベとは他にグランデ カッロという畑のメルロも使用しています。収穫は手摘みで行われており、温度管理しながら樽で発酵。熟成は600Lの新樽と2年目のバリックを使い分けて、15ヵ月間行います。

今回入荷した2009年クエルチェゴッべは、ペトラのセラーにて10年間熟成されてからリリース。ボトリングされてからペトラのセラーで熟成していたこともあり、熟成による成熟度が非常に高いのが魅力です。

元々はオーナーファミリーであるモレッティ家のプライべート・コレクション。販売するために熟成させていたわけではなかったですが、クエルチェゴッベの熟成ポテンシャルの高さを理解してもらたいという熱意で、数量限定にてリリースすることを決断。イキイキとした果実味が魅力の若いヴィンテージと異なり、複雑に重なり合った果実味と丸みを帯びたタンニンが熟成ポテンシャルの高さを示しています。

外観はガーネットがかった赤色。グラスに注ぐと、レッドチェリーやカシス、ブラックチェリーなどの熟した果実の香りに、西洋スギやチョコレート、なめし皮などの複雑なアロマが立ち上ります。口に含むと、丸みを帯びたタンニンが感じられ、このワインがいかに綺麗に熟成しているのかを物語っています。妖艶な果実味が口の中で広がり、優しい酸味が魅力的。余韻には赤いバラやドライハーブ、ミネラルなどの風味が長く続いていきます。

若いヴィンテージでは味わうことのできない、長期熟成ならではの複雑なニュアンスを是非お愉しみください。