タルデュー・ローランは、ローヌ出身のミシェル・タルデュー氏と、ブルゴーニュの有名なネゴシアンのドミニク・ローラン氏が1996年に創業したネゴシアン。厳選した契約農家から古樹にこだわって買い付け、妥協のない醸造で仕立てる彼らのワインはエレガンスに満ちた仕上がりで、有名評価誌においても錚々たる評価を得ています。

その後2008年にドミニク・ローラン氏は事業から退き、ミシェル氏が単独で経営を始めます。2010年からは息子のバスティアン氏が醸造家、娘のカミーユ氏が広報として参加。2018年にシャンパーニュのシャルル・エドシックなどを所有するEPIグループに株式の49％を売却しましたが、ワイン造りにおいてはこれまで通りタルデュー家が手掛けています。

彼らを語る上で欠かせないのは、ローヌで「ミクロ・ネゴシアン」を始めたパイオニアであるということ。ミクロ・ネゴシアンという言葉に厳密な定義はありませんが、ブドウ畑を所有せずに、契約農家からブドウを果実や果汁、発酵後のワインの状態で買い付けてワインを造る小規模生産者を指します。

ミシェル氏はミクロ・ネゴシアンであることのメリットは、「ドメーヌより自由度が高く、ワインやブドウのセレクション、熟成、ブレンディングに完全に集中することができること。」として、「ローヌ全体の複数アペラシオンを造るのは大変だが、難しいからこそやりがいがある。その日の気分でどのアペラシオンのワインを飲むか選べるというのはローヌワインの素晴らしさのひとつだ。」と語っています。

ミシェル・タルデュー氏は、家族がポマールとシャトーヌフ・デュ・パプのワインを好んで飲んでいた環境に育ったことで、自身もワインに興味を抱くようになりました。ブルゴーニュやローヌを中心に数多のワインを飲み、テイスティング能力を鍛え、ワインを猛勉強。磨きあげられたその味覚と見識は、「ローヌ屈指の目利き」と称されています。

そんなミシェル氏の研ぎ澄まされた味覚を活かし仕立てられるワインは、ワイン・アドヴォケイト、ワイン・スペクテーターといった名だたるワイン評価誌にて高評価を連発。フランスで高い支持を集めるテイスターのミシェル・ベタンヌ氏とティエリー・ドゥソーヴ氏が発行するベタンヌ+ドゥソーヴ・ワインガイドでは、「最高評価の5つ星を獲得」という快挙を達成しました。

評価者の両氏はタルデュー・ローランについて「現在、ローヌで最も優れたネゴシアンのひとつ。ミシェル氏と息子のバスティアン氏はブドウ畑を訪ね歩き、古樹から得られる高品質のブドウを見つけており、地域にとって誇らしく思う生産者と言えるだろう。」と称賛。ワインのプロフェッショナルからも絶大な信頼を得ているのです。

タルデュー・ローランでは、特に古樹にこだわって厳選してブドウを買い付けています。良いワインを造るには低収量が重要だと考えており、必然的に低収量となる古樹にこだわっているのです。古樹の特徴は、深く地中に根を伸ばし水分の吸収量を的確にコントロールできること。そのため、気候の変化に大きく左右されず、毎ヴィンテージ安定した品質が見込めます。

また、彼らは各アペラシオンのトップレベルの畑を持つ80～100のブドウ生産農家と強い関係を構築。長年に渡り契約しているからこそ、生産量は少なくても、品質が高くエレガントなスタイルのワインを造り出せるのです。

こちらのワインは、ワイナリーが手掛ける他のコート・デュ・ローヌより特別でユニークであるという意味を込め、ノーブル・オリジーヌ＝「高貴な生まれ」と名付けられていました。レ・ベック・ファンシリーズがコンクリートタンクを使用しているのに対し、ノーブル・オリジーヌは樽を用いて醸造されており、その違いからもこのワインが特別であることが伺えます。

ブドウは1/3は北ローヌから、残りは南ローヌのブドウをブレンドしています。ネゴシアンだからいって発酵プロセスに関与しないわけではなく、収穫時から各生産者と密に意見を交換。毎ヴィンテージブレンド比率を変えることで、一貫して華やかかつバランスの取れたスタイルに仕上がっています。

グラスからはレモンや白桃、洋ナシの果実のアロマが印象的で、ミネラル感やスパイスのニュアンスも重なることで妖艶な風味が溢れ出します。豊かな果実味と洗練された酸がバランスよく調和しており、親しみやすい味わいです。ピュアな果実の甘みが感じられるため、スパイシーなエスニック料理から魚介の旨味が詰まったアクアパッツァ、濃厚なクリームシチューなどの幅広い料理と相性抜群。日々の食卓を彩る芳醇なワインをお試しください。