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ワインショップ・エノテカ二子玉川東急フードショー店

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二子玉川東急フードショー店のブログ

【ワインライフ】スペインが教えてくれた夏の過ごし方

三瀬

2025.07.10
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かつて「太陽の沈まぬ国」と呼ばれるほどの栄華を誇ったスペイン。


あまりにも太陽が沈まないせいか夏の暑さは我々の想像を超えるほどに過酷で、特に南部のアンダルシア州ではこの6月の最高気温が46を記録したそうです。ああ、恐ろしい。




皆さまこんにちは。ワインショップ・エノテカ二子玉川店の三瀬です。


梅雨のじめじめと真夏のような暑さのダブルパンチに見舞われる日々ですが、お身体にお変わりないでしょうか。


今でこれだけ暑いなら、8月はどうなってしまうのだろうかと今から不安でいっぱいですが、せめてもの抵抗として「夏に飲みたいワインリスト」を作って気を紛らわせている私です。白やロゼ、スパークワインはもちろん、冷やして楽しめる赤ワインもいくつかリストアップしています。


今回は、そのうちの1本を飲んだときのお話です。



「どんな日に飲もうかな。どれくらい冷やそうかな。どんなお食事と合わせようかな。」



飲みたいワインがあるとき、考えねばならないのはそのワインをどう楽しむのかということですよね。ワインを軸に、あらゆる方向へと思考を巡らせます。一度考え始めると夜も眠れなくなり、まるで太陽が沈んでいないかのようです。



……「太陽の沈まぬ国」


私の大好きなスペインです。

スペインといえば、夏にぴったりのあのワインがあるじゃないか!

「スペイン」「夏」「ワイン」という3つのキーワードで私が思い浮かべたのは、スパークリングワインの「カヴァ」です。キンキンに冷やして飲みたい、この季節の定番ですよね。そんなカヴァの中から今回セレクトしたのは、二子玉川店でも人気の高い 2019 プロジェクト・クワトロ・カヴァ・プレミアム・レゼルヴァ / クロ・モンブラン(¥2,420)です。


さて、飲みたいワインが決まりました。では次にこのカヴァをどう楽しむか考えましょう。


どんな日に?うだるような暑さの日に。

どれくらい冷やして?よくよく冷やして。

どんな料理と合わせて?それはもちろん……


「スペイン」「夏」「料理」

皆様はこのキーワードで何が思い浮かびますか?


冷製スープの「ガスパチョ」を思い浮かべた方は、かなりのスペイン通ですね。しかし私の脳裏によぎったのは、ガスパチョと同じくスペイン南部アンダルシア州の冷製スープでありながら似て非なる存在の、「サルモレホ」でした。


「サルモレホ」ってなんですか?と気になっている方も多いでしょうが、その前に一つ。そもそも私がどうしてこれほどにスペインを推しているのかという話をさせてください。ダメと言われても勝手に話します。興味の無い方は、どうぞ5行ほど読み飛ばしてください。・



スペインを好きでいる理由、それはもちろんスペインが私にとって特別な場所だからです。


スペインが特別である理由、それはなんと私、スペインに住んでいたことがあるからです!


1年にも満たない期間ではありましたが、首都マドリードで暮らしていました。その中でスペインの街に触れ、人に触れ、食に触れ、そしてワインと出逢ったのです。


そう、私にとってスペインとは、ワインとの初恋の地なのです。



それでは、そろそろサルモレホの話を……え、なんだって?もっとスペインの話が聞きたいだって?


仕方ないですね。ではもう少しだけ、私のアナザースカイでのワインとの出逢いについて語らせていただきます。ダメと言われても勝手に話します。興味のない方は、どうぞ50行ほど読み飛ばしてください。



私がスペインの地に降り立ったのは、気温40度を超えるような灼熱の8月でした。


新たな地での生活に胸を躍らせていた私でしたが、そんな希望を易々と打ち砕いてしまうほどに、マドリードは過酷な世界でした。 外を歩けば日差しが頭を焼き、乾燥しきった空気が喉や鼻を痛めつけます。私は、自分に覚悟が足りていなかったことを痛感しました。



「なんだこの国は!呼吸がつらい!とてもこれから暮らしていける気がしない!!」



スペインでの生活は始まったばかりですが、早くも日本の湿気まみれの夏が恋しくなります。……いえ、日本の夏も苦しいですよね。恋しくはないです。訂正します。


とにかく!スペインの夏はこれまでに経験のない環境でした。避暑地を求め、右も左もわからない街を彷徨います。



「誰か、助けて……。み、水を……!」



幸いマドリードにはカフェやバルが溢れています。私はそのうちの適当な一軒に逃げ込みました。


店内は冷房が効いており、気の良いウエイターが席まで案内してくれました。よくよく冷えた水が飲みたい気分でしたが、ここスペインでは水の注文もたいていは有料です。いつでもガブガブの水を飲んでいられたあの日々、遠く日本を思って涙がこぼれそうになりました。しかし今は、その涙一滴さえも無駄に出来ないほどに喉が乾いています。



「早くキンキンに冷えた水が飲みたいけれど、せっかくお金を払うなら何か別のもの、スペインらしいものを頼みたい……」



迷いが生じます。



「スペインらしいものを頼みたいと言っても、いったいどれがスペインらしいんだ?メニューで名前だけ見ても、さっぱり味の想像が出来ない。適当に頼んでみるか?でも、もしそれでホットドリンクがでてきたら、私は今夜の便で日本に帰ることになるだろう。」



そうこう悩んでいる間にも喉の渇きは加速します。もう妥協して水を頼んでしまおうかと、そう思った矢先の事でした。ある文字が私の目に飛び込んできたのです。




Tinto de verano (ティント・デ・ベラーノ)




「夏の赤ワイン」を意味するスペイン語です。



「赤ワインなんて飲んだことないけど、『夏の』っていうぐらいならきっと冷たいんだ!」



詳しいことは分からないまま、名前の印象だけで注文を決意します。気の良いウエイターにオーダーを伝え、乾ききった喉をいたわりながら今か今かとその時を待ちます。


そして体の火照りがようやく取れかかったそのとき、ついにティント・デ・ベラーノが私の目の前に運ばれてきました。カラカラと音を立てるグラスには、透き通ったルビー色の液体と氷が入っています。



「ほう、これが夏の赤ワインか。どれどれ……おお、冷たくてすっきりしてて最高じゃないか。このシュワシュワとした炭酸が良い。レモンの風味も最高だ。そうかそうか、赤ワインとはこういうものなのか。」



後に知った事ですが、ティント・デ・ベラーノは赤ワインをベースにして作られるカクテルでした。お恥ずかしい。赤ワインのチャーミングな果実味と、力強く弾ける泡、そしてレモンの爽快な酸味とが折り重なった、まさしく夏にピッタリの一杯です。


赤ワインをレモン味の炭酸飲料で割るだけで出来るので、自宅でも簡単に作れます。気付けばこの年の夏、私の手にはずっとこの「夏の赤ワイン」がありました。 

あの日飲んだティント・デ・ベラーノ

そこから時が経ち、夏が終わるころに私はティント・デ・ベラーノを卒業します。


その後に足を踏み入れたのが、そう!ワインの世界でした!


昼はレストランのテラスで1杯、夜は賑やかなバルで1杯。赤ワインに白ワイン、さらにはスパークリングワインと、スペインが誇る多種多様なワインにどっぷりとハマっていったのです。



ではそろそろ、お待ちかねのサルモレホの話をいたしましょう。そのためにはまず、私のスペインでの話を聞いてください。ダメと言われても勝手に話します。興味のない方も、ここはどうか読み飛ばされませんよう。



ワインのある生活を送る中で、季節は徐々に移ろいます。凍えるような冬が終わると、街角には色とりどりの花が咲き乱れます。春です。人々は公園の芝生に寝転び、ぽかぽかと幸せな時間を過ごしています。


しかし穏やかな日々も長くは続かず、またもやあの季節が始まりました。夏です。


渇きと日差しに晒される日々が再び始まりました。しかし私は恐れません。なぜならワインがあるのだから。どれほど暑くても、白ワインやスパークリングワインのカヴァ、そして「夏の赤ワイン」があれば怖いものなど一つもありません。


そう思っていた私は、スペインの中でも特に暑いと評判のアンダルシア州まで足を伸ばしてみることにしました。


そして来たるべき旅行の日、6月中旬のよく晴れた日のことでした。気温は44度。もう、訳が分かりません。暑すぎです。気合でどうこうできる次元ではありません。せっかくの旅先なのに、日中はとてもお散歩しようなんて思えず、レストランでまったりと昼食を摂ることにしました。


旅のために英気は養いたいものの、こうも暑いと食欲も湧いてきません。どうしようかと困り果てていた私でしたが、そんな姿に見かねてか、気の良いウエイターが話しかけてくれました。



「暑いよな。わかるよ。でもそんなときはこれ食っときな!」



アンダルシア訛りの独特なアクセントで紹介された料理。夏の暑い日にぴったりの料理。それこそが!そう!お待たせしました!それこそがサルモレホなのです!


サルモレホとはつまり、酷暑地帯アンダルシアの伝統的な冷製スープです。トマトとパン、ニンニク、オリーブオイルをまとめてミキサーにかければ、あっという間に出来上がり!お好みで生ハムや茹で卵をトッピングするのが定番だそうです。


トマトの爽やかな酸でさっぱりとした味わいながらも、パンが入っていることによってボリューム感があり、しっかりとお腹にも溜まります。


灼熱のアンダルシアにおける唯一のオアシス、それがサルモレホ、それがサルモレホなのです!



さて、場面は変わりまして今日の東京です。


ムシムシとした梅雨の暑さに耐えかね、私はとうとうあの日見たオアシスに手を伸ばしました。


カヴァを飲もう、サルモレホと共に!


そうと決まればスーパーまで真っしぐら。トマトとパンが必要ですが、ミキサーは持っていないので紙パックの裏ごしトマトとパン粉で代用します。


家に帰ってキッチンに立ち、全ての食材をボウルに入れたらあとはひたすらかき混ぜます。体が火を吹くほど懸命にかき混ぜたら、最後に茹で卵をトッピングして完成。あの日見たオアシスが、今ここに!さあ、次は早くスパークリングワインを!


合わせるカヴァは 2019 プロジェクト・クワトロ・カヴァ・プレミアム・レゼルヴァ / クロ・モンブラン(¥2,420)です。「クワトロ」とは数字の "4" のこと。マカベオ、チャレッロ、パレリャーダというカヴァらしいブドウ品種に、シャルドネを加えた計4品種のブレンドで造られています。冷蔵庫から取り出しすと、しっかりと冷えていることが手に伝わる温度で確認できました。グラスとともに、サルモレホの待ち構えるテーブルへと運び込みます。リビングは程よく冷房が効いています。


いざ、抜栓───


グラスに注ぐときめ細かな泡がグングンと立ち昇り、泡が弾けるほどに白いお花のような香りが広がります。洋ナシを思わせるフルーティなアロマも溢れてきたかと思えば、グラスを鼻に近づけるとブリオッシュのような香ばしい風味も感じとることができます。


そしてついにカヴァが口の中へと流れ込んできました。力強い泡立ちの向こうで、シャープな酸と豊満な果実味がいっぱいに広がります。


ゴクリと飲み込むと、爽やかなライムやふっくらとしたイーストの香りが折り重なって鼻に抜け、うっとりするほど上品な余韻を演出します。通常のカヴァより断然長い熟成を経ているプレミアム・レゼルヴァだからこその優美な味わいに、身も心もすっかり魅了されてしまいました。幸せを噛み締めながら、一口、もう一口とこの身を泡で潤していきます。


カヴァとの戯れを一通り楽しんだところで、ついに本日のメインディッシュの登場です。

見た目にはただのトマトスープですが、パン粉を加えたことによってクリーミーな口当たりになっています。よく冷やしていることでトマトのフレッシュな酸が際立ちますが、その奥でパン粉のボリューム感が全体をしっかりと支えています。この多層的な構造は、まるでカヴァそのものではありませんか。どうりで相性が良いわけだ!


カヴァを飲むとサルモレホを欲し、サルモレホを飲むとカヴァが欲しくなる、まさに理想的なペアリングでした。


さらには、もし途中で物足りなさを感じたら……

こうしてサルモレホをソースとして使うこともできます。本場スペインではよくナスの揚げ物に合わせられます。今回私が用意したのは鶏の唐揚げ。アツアツの唐揚げによく冷えたサルモレホをかければ、ああもう言葉では表しきれない幸せがそこにはあるのです!


カヴァとサルモレホの二重奏に身を委ね、最後の一滴までもが体に染み渡りました。


日本とスペイン、時差8時間の両国は気候も違えば食文化も違います。違いを挙げればきりがないほどですが、暑い夏をどうにか乗り越えたい気持ちはきっと同じです。そんな遠国に思いを馳せて、今年の夏はどこかの1日をスペイン風に過ごしてみませんか?




いざ来たれ、夏よ!!




ちなみに「夏の赤ワイン」ことティント・デ・ベラーノは、 エノテカの公式インスタグラムでも「ティント・デ・ヴェラーノ」としてレシピが紹介されていますので、ぜひ皆さんもお試しください。


以上、「サルモレホのレシピもいつか紹介してくれないかな」と淡い期待を抱く、スペイン大好き三瀬のワインライフをお届けしました。

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