店舗情報
ワインショップ・エノテカ佐野プレミアム・アウトレット店
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このショップのスタッフレビュー
寺内喬紀
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
佐野店の寺内でございます。
今回は、私がプライベートで購入したエノテカのワインを、なんとなく合うのではないかと思って揃えたおつまみを添えて、その美味しさを追求していく箸休め企画をお送りいたします。
さて、第12回目の今回は、サンジョヴェーゼの神様を師に仰ぎ、その意志を引き継ぐワイナリーレ・ポタッツィーネが造る「ロッソ・ディ・モンタルチーノ」をお送りいたします。
エノテカで働く私のプライベートなワインの楽しみ方、是非とも肩の力を抜いて覗いてみてください。
今回の晩酌ブログ#12は、投稿するまでが非常に難産でした。
「ペアリングはフィーリングを優先して自由であるべき」というのが私の晩酌における信条なのですが、夏の間はそのフィーリングが天元突破していたのです。
例を挙げるとするなら、お中元の素麺で作った「豚汁風つけ麺」にセントラル・オタゴのピノ・グリを合わせたり、沖縄の郷土料理テビチ(豚足)にロワールの伝統品種を合わせたり。
ペアリングとしては面白く、個人的には「こういうのもあり」と思えるような組み合わせもありましたが、あまりにも前衛的過ぎてブログに落とし込むのが難しいなと頭を抱えていたのでした。
そんなこんなで気づけば秋。日中の気温も過ごしやすくなってきて、白ワインだけでなく赤ワインも美味しい季節に。ここ最近は白ワインのペアリングが続いていたので、赤でのペアリングも試したくなってきました。
そうと決まれば早速マイセラーの中をごそごそ。と探しているように振る舞いますが、私のセラーの半分はサンジョヴェーゼのワインで埋まっております。エノテカに入社してからというものの、現在進行形でサンジョヴェーゼに魅了され続けている男の好みが反映された正直なラインナップです。
キャンティ・クラシコやプルニョーロ・ジェンティーレも捨てがたいし、最近買ったオーストラリアのサンジョヴェーゼも面白いかもしれない。色々と物色して、今回はこちらの生産者のワインに決めました。
★2023年 ロッソ・ディ・モンタルチーノ / レ・ポタッツィーネ
通常価格(税込):8,800円
イタリア・トスカーナに拠点を置くブルネッロ・ディ・モンタルチーノの造り手、レ・ポタッツィーネ。この生産者を語る上でまず外せないのが、ヴィノスを始めとしたワイン評価誌において「圧倒的に美しい」と評された洗練の行き届いた味わい。堪能した人づてにその全容を聞き、その味わいが気になっていたのでした。
レ・ポタッツィーネのロッソは、ブルネッロと同様の自社畑に育つブドウで造るのが特徴(収穫後に厳選されたより質の良いモノをブルネッロに使っているとのこと)。限りなくブルネッロに近いと謳われる1本です。
今や若手も重鎮も壁なくひしめき合うモンタルチーノ・エリア。文字通り「多彩な」ブルネッロが乱立する現代において、ワイン評価誌に「圧倒的に美しい」とまで言わしめさせたその個性は、ある意味でオンリーワンなものだと言えましょう。思い浮かべるだけで……飲みたい!
グラスに注ぐと色合いは深いルビー色。立ち昇る香りは力強くふくよかで、熟したプラムやブラックベリーなどの黒系果実を中心に、ザクロ、スミレの花、甘いスパイス、仄かに黒鉛のようなニュアンスも伴い、多層的な印象を受けます。スワリングするごとに、より鮮明さを増していく奥深い香りです。
口当たりは、非常に艶やかで豊潤な果実感が広がります。甘酸の絶妙なバランス感には心地よささえ感じ、タンニンも驚くほどにシルキー。余韻も口内に溶け込むようにじんわりと長く残ります。
ブルネッロ然り、ロッソ然り、大好きなサンジョヴェーゼ・グロッソを楽しむとき、私には極力使いたくないワードがあります。「エレガント」です。普段ワインを語る際、ついつい使いたくなってしまう言葉だからこそ、使いたくない。こだわりというか、半ばプライドというか。
……なのですが、実際に堪能してみて漏れ出た第一声は「あー、Elegante(エレガンテ)」。
色づく秋に実るたわわな果実の如きふくよかさ、鼻先で嗅いでも口に含んでも広がる芳醇な香り高さ。これまで口に出すのを避けていたエレガントという表現、今この時に使わないでいつ使うのでしょう。
間違えてブルネッロの方を開けてしまったか?とエチケットを確認しましたが、ボトルには確かにロッソの表記。抜栓直後でこれだけの満足感が味わえるのは、晩酌を頻繁に開いていても珍しい体験です。
今回の晩酌のお供は、豚肉の生姜焼きです。豚汁風つけ麺、テビチに続き、三度の豚料理。しかし今回はフィーリングではなく、絶対に美味しいだろうなという盤石の理由ありきで挑んでいます。
自然豊かで風光明媚なモンタルチーノ・エリア。周辺ではよくイノシシが出るそうで、郷土料理では猪肉を使ったジビエなんかも有名なのだそうです。勿論現地ではブルネッロとのペアリングで親しまれています。そうです。イノシシに合うのですから、豚に合わない筈がないのです。
既にロッソを口にした口内は未だに芳醇な余韻で満たされています。そこに生姜焼きをひと口。ひと噛みごとに香る生姜の風味、染み出す肉汁。ロッソの華やかな残香と生姜の風味が優しく合わさり、鼻腔を貫きます。しかし、本命はこれから。
期待を胸に、いざロッソふた口目。一呼吸ほどの静寂の間、私の表情は蕩け切っていたに違いありません。肉汁とロッソの滑らかなタンニンが見事に溶け合い、さらには醤油の旨味とロッソの甘みがより際立った、例えるなら壮麗な協奏曲を思わせる演出。思わず虚空に向かって拍手をしてしまいました。
堪能して分かりました。「圧倒的に美しい」というのは評価誌の誇張でもなんでもなく、まさにそうとしか言いようがないストレートで純粋な表現だったのですね。寝かせているブルネッロの味わいに更に期待が高まるような、贅沢なひと時でした。
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