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ワインショップ・エノテカ 吉祥寺店
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このショップのスタッフレビュー
早川
皆さまこんにちは!吉祥寺店の早川です。5月、上着を着ようかやめようか、クローゼットの前で逡巡する季節がやってきましたね。
現在吉祥寺店では、イタリア・ピエモンテ州を特集中です。イタリア赤ワインの王様・バローロが生み出される、イタリアきっての銘醸地です。
とはいえ、"王様"と評されるようなワインの産地ですから、聞いたことはあるけど、ちょっと敷居が高くて取っつきにくい......とお思いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ということで、三度の飯よりイタリアワインが好きなスタッフ・早川が、そんなあなたの背中を一押しさせていただきます!これを読めば、ピエモンテ沼へと一歩踏み出す準備が整うはずです。
イタリア北西部、フランスと境界を接するピエモンテ州。州都はバロック建築の洗練された街並みで知られるトリノです。
州の南部に、バローロやバルバレスコが造られるランゲ地方があります。もちろんワインでも有名ですが、チーズや白トリュフ、ジビエ料理、そしてヘーゼルナッツも名産です。
ランゲ地方はタナロ川という川の付近に位置する丘陵地。丘の上と斜面には一面のブドウ畑が広がり、丘の麓にはヘーゼルナッツの木が植えられている、というのが典型的なランゲ地方の風景です。
土着品種の宝庫であるイタリアらしく、さまざまな土着のブドウが栽培されています。
・ドルチェット:毎日飲める軽やかさが魅力。フルーティーで酸味・渋み共に少ないタイプの赤ワインが多いです。
・バルベラ:週末にぴったりなミディアムボディ。豊かな果実味と生き生きとした酸のバランスが良い赤ワインが多いです。
・アルネイス:こちらは白ブドウ。口当たりはふくよかですが、ドライな切れ味の白が多いです。和食との相性が抜群です。
そして忘れてはならないピエモンテの誇り、ネッビオーロ。バローロ、バルバレスコはこの黒ブドウから造られます。渋味が強く、しっかりとした酸味があるのが特徴。どちらかというと長期熟成向きの品種です。
バローロはイタリアにとって最も重要なワインの一つ。フランスで例えるなら、ボルドーの格付け第1級シャトーのワインや、ブルゴーニュのコート・ドールのピノ・ノワールのような位置づけと言えるでしょう。イタリアワイン法における格付けも、最高位のD.O.C.G.です。
「バローロ」というワインの名前は、ランゲ地方の中にある小さな村、バローロ村が由来です。この村を中心とする11の村で収穫されたネッビオーロから、D.O.C.G.バローロを造ることが法的に許されています。
約2,000haととにかく広い産地であるがゆえに、村が違えば土壌や気候条件も異なり、したがって出来上がるブドウの味わいも大きく異なります。同じブドウでも、産地と生産者によって全く異なる表情を見せてくれるのです。
特に著名なのは、次の地図に記された村。ヴェルドゥーノ、ノヴェッロはここ最近注目され始めている村で、その他の5つの村がバローロ五大産地として知られています。
バローロには何世紀にも渡る歴史がありますが、世界的に名声が高まったのはここ170年ほどのこと。
過去のバローロは、"ピエモンテの誇り"としてその存在自体は崇められながらも、お祝い事などの際に儀礼的に飲むものというポジションだったようです。その味わいは「野獣のよう」と表現されるほど渋味が強く荒々しいスタイルで、今のようにワインラヴァーを魅了する味わいではありませんでした。
その上、上述した村による味わいの違いもあまり意識されず、バローロエリア各地のブドウをブレンドするのが当たり前でした。
20世紀に入ると、ちゃんと美味しいバローロを造ろう、という方向転換が始まります。まず細かい産地の違いに注目する生産者が現れ、特定の村の中の、特定の畑で収穫したブドウだけを使った、”単一畑(=クリュ)”のバローロが造られるように。
更に、世界的なトレンドに合わせて、口当たりが柔らかく長期熟成の必要がないバローロを目指すモダン派が出現し、”楽しんで飲めるバローロ”が一大ブームとなりました。
現在では古典派もモダン派も中道派も入り乱れ、多様な生産者が実に多様なバローロを生み出し続けています。
今回は、そんな多様なバローロの生産者たちから二つのワイナリーをピックアップ。伝統を敬愛し続けるクラシックバローロの生産者「カヴァロット」と、バローロの革新に大きな役割を果たしてきた「レナート・ラッティ」です。
古典派を代表する造り手の一つ、カヴァロット。1928年の創業当時からほとんど製法を変えていません。
彼らの拠点は地図中央、カスティリオーネ・ファッレット村にあります。あまり大きな産地ではありませんが、超一流のバローロ生産者が集まる銘醸地です。
バラやスミレなどフローラルなアロマが魅惑的なラ・モッラ村と、力強く長期熟成向きのセッラルンガ・ダルバ村に挟まれるこの村では、両者の特性が融合したバローロが生み出されています。
このカヴァロット、ひたすら品質と伝統にこだわり続け、自らの宣伝を後回しにし続けたために、品質と知名度が見合わない時期が長かった過去があります。2000年代に入ってから著名な評論家に取り上げられたことをきっかけに、大絶賛されるようになりました。今でこそ一流バローロの価格帯ですが、知名度が上がる前は市場で最も手頃な価格帯のバローロだったというのですから驚きです。
古典派とはいえ、カヴァロットのワインは冒頭で紹介したような「野獣のよう」な初期バローロとはかけ離れています。
彼らのワインを抜栓した直後、最初は少しだけ人を寄せ付けない印象があるかもしれません。誇り高い職人はそう簡単になんでもオープンにはしてくれないのです。しかしそこは辛抱強く待って、抜栓後1時間は置いてからグラスに注いでみてください。
優れたバローロについて「シルクの手袋をした鉄の拳」と表現されることがありますが、カヴァロットはその表現がまさにぴったりです。アロマや口当たりはどこまでも優美ですが、その奥には芯の強さが隠れています。タンニン(渋味)はきめ細やかなものの、意識が舌の上に釘付けになるほどには存在感があり、ネッビオーロならではのクセになるタンニンを堪能させてくれます。そしてふわりと漂う土や枯葉、スパイスの風味に、エレガントなだけに留まらないワイルドさも表現されているのです。カヴァロットのバローロはこのギャップがたまりません。
地図上部、ラ・モッラ村に拠点を置く名門、レナート・ラッティ。ラ・モッラ村は他の村よりも標高が高く、500m前後の場所に畑が広がっています。
ラ・モッラ村で造られるバローロはどんなスタイルか?レナート・ラッティのものを試せばすぐに理解できるはずです。液体を注いだ瞬間、グラスを飛び出してテーブルの上に濃密でゴージャスなアロマが漂います。こちらから鼻を近づけずとも、向こうからアロマのブーケをトスしてくれるのです。
口に含めば豊かで凝縮した果実味が溢れんばかり、タンニンもしなやかで柔らかく、舌の上をするすると流れていきます。鼻も舌も魅了する風味は、優雅で開放的で、誘惑的ですらあります。
しかし、誘われるままにさっさと飲み切ってはいけません。ぱっと見の華やかな印象の裏には、人生の縮図のような複雑さが隠れています。じっくり向き合いながら飲んでみてください。
そんなレナート・ラッティの功績としてよく知られるのは、バローロの価値普及への取り組みです。1970年代当時、下手をすればドルチェットやバルベラよりも低い価格帯で扱われていたバローロの市場価値を向上させるため、バローロエリアの有名な畑のマップを作成し、更にそれぞれの畑をランク付けしました。
また、生産年による品質の違いにも注目し、ヴィンテージ毎の評価を公開。テロワールとヴィンテージという評価基準を浸透させたことによって、バローロは世界中の評論家やワインラヴァーから注目を集めるようになったのです。
ちなみに、現在のバローロの法律にも、ラッティの単一畑マップをベースとしたものが適用されていて、評価の信憑性の高さに加え、影響力の大きさが伺えます。
伝統と革新が入り乱れ、異なる哲学、異なる解釈、異なる個性を持った、ありとあらゆるワインが生み出されるランゲ地方。そんな中で、どの生産者にも共通するのは、イタリアトップクラスの銘醸地に対する深い愛と、誇り高さです。
エノテカでは、そんな生産者たちのプライドとこだわりが生む逸品ばかりを取り揃えています!ショップにお立ち寄りの際は、一度イタリアの棚の前で立ち止まって見てください。
また、数量限定ですが、カヴァロット、レナート・ラッティのワインをバーでもお試しいただくことができます!ご利用をお待ちしております。
ストップ!20歳未満飲酒・飲酒運転。
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ほどよく、楽しく、良いお酒。のんだあとはリサイクル。