店舗情報
ワインショップ・エノテカ大名古屋ビルヂング店
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鎌田 英邦
みなさま、こんにちは。大名古屋ビルヂング店の鎌田でございます。
タイトルを見て「たしかに!」と思って下さった通なワインラヴァーのあなた、当店へ寄ってらっしゃい。良いワイン、取り揃えてございます。
「何のこっちゃ…」と思ったワインファンのあなた、当店を見てらっしゃい。良いワイン、お選びいたします。
さて、タイトルの通り深みに嵌まれば嵌まるほどに楽しみが増すのはワインラヴァーの性ながら、引きずりこまれるようにワイン道を追求したくなるような産地と言えば皆様はどんな名前を挙げるでしょう?
「ボルドー」
左様でございますか。
5大シャトーを筆頭に格付けという基準を設けることで品質を可視化する伝統と格式の名醸地ですね。確かにこれからぐっと寒さも増していくこの季節、あの深紅の液体が魅せる魔法にかけられてみたいところであります。
「ブルゴーニュ」
左様でございますね。
綺羅星の如きグラン・クリュの数々はいつでも夢を見せてくれるもの。
細分化された畑に精緻に宿る味わいは正に神の雫と呼ぶに相応しいかもしれません。この沼は嵌まったら脱け出せないという声が聞こえてきますね。
いずれも甲乙つけがたい最高のワイン産地ながら…今回みなさまにお飲み頂きたいのは、イタリアはピエモンテ州、悠然と佇むアルプス山脈のお膝元に広がる月冴ゆる名醸地が生み出す宵闇を照らす深淵なる赤ワイン。
そう、バローロでございます。
突然ですがみなさま、星空はお好きですか?
街中では夜空に輝く星があまり見えない昨今、私はGoogle Earthの画面に想いを馳せることも多くなってきました。満天の星空はここ名古屋ではなかなか望むべくもないもの。
しかし、見上げた秋空に光る一点の星灯りには高層ビルの上から見下ろす都会の借景とは違った情緒を感じる気もします。
数多くの迷える旅人を導いてきた北極星ポラリスも都会で確認できる数少ない星のひとつ。ならばここは星空の力を借りて、迷えるワインラヴァーたちが楽しむ今宵の晩酌ワインを決めてみようではありませんか。
北極星は地球から431光年の彼方にございます。光の速さ(秒速約30万km)で431年かかる距離。想像を絶する遠さですがこれでもあらゆる天体の中では近くにあるのでしょう。
人の視覚は光によってものの色や形を認識するので私たちが北極星を見上げるとき、その煌めきは431年の過去から届いた光を見ているということになります。
星の輝きは確かに目の前にあるのに、その姿は遥かに昔のもので、その距離は遥かに彼方のもので、手の届かぬずっとずっと先にある。
だからこそ我々は星空の神秘に様々な想いを重ね合わせるのかもしれません。
さて…私のロマンチシズムに長々とお付き合い頂いたのには他でもない理由がございます。
そう、この広大無辺の宇宙を内包した銘酒こそが正しくバローロであると感じるからであります。
・ネッビオーロ種100%であること
・最低アルコール度数13.0%以上であること
・収穫年の11/1から最低38ヶ月熟成、内18ヶ月は木樽で熟成させること
・リリース時期はブドウ収穫年から4年後の11/1以降であること
ワイン法に定められたDOCGバローロを名乗るための数多い規定の幾つかを列挙致しました。
原産地をワイン名に冠するためにはどの国でも様々な規定を設けているものですが、さすがにバローロはイタリアの三大銘酒と称されるだけあってたいへんに厳しい条件が課されていますね。
なかでも注目を頂きたいのは"熟成規定"と"リリース時期"が明確に定められていること。
ワインは熟成を経るほどに複雑さを獲得し深みを増していく飲み物です。
新しいヴィンテージのワインはフレッシュな果実の味わいやお花の香りに満ちていてとても若々しく活力があります。
ある程度年月を経過したものからはドライフルーツやトリュフのような滋味深い香りが立ち上り歳月の重さすら感じさせるように変化していきます。
この熟成の味わいを感じるには多くの場合、自身で買ったものを長い期間保存しておくか、リリースから時間が経過したバックヴィンテージのワインを探し出して買い求めるしかありません。
しかしながら、バローロには「収穫から最低38ヶ月以上熟成させたワインを4年後の11/1」まで出荷してはいけないというルールが存在します。
これは、市場に流通している最新ヴィンテージのワインが既に熟成感を伴っていると読むこともできるのです。
熟成ワインにしか感じることのできない底無しの深み。その一端をいつでも垣間見ることができるのはバローロというワインが持つ最大の魅力のひとつではないでしょうか。
それにしても不思議なものです。
最新のワインとして出荷されたものであるのにそこには既に歳月の流れが確かに刻まれている。バローロを飲むとき、目の前にあるはずのグラスの中身が手の届かない遥かな彼方にあるかのような圧倒的な距離感を持っていることに気づかされる瞬間があります。
それはまるで何光年も先にある星を眺めているような遠さです。輝きは目の前に強く感じられるのに決して掴むことはできない。
バローロとはそのようなワインであるように思うのです。
大名古屋店では当月、バローロを含むピエモンテの素敵なワインを体験できる機会を10/14(月)の祝日に設けさせて頂きました。ぜひお誘いあわせのうえ、ご来店くださいませ。
また、バーでの特別提供ワインとして1本限定でブルーノ・ジャコーザが手掛ける最高のキュヴェも開けさせて頂きます。
バローロ・リゼルヴァの規定は通常のバローロを大きく上回り「収穫から62ヶ月以上熟成させたワインを6年後」までリリースすることはできません。名実ともにバローロ最高峰であることに疑いの余地はありません。
この機会にぜひバローロという深淵にどっぷりと浸かってみては如何でしょうか。
深淵を見つめるとき、深淵もまたあなたを見つめ返しているかもしれないのだから。
さて、タイトルの回収ついでではありますが当月は月が綺麗な空模様になるようです。
試飲イベント翌日の10/15は「後の月」とも呼ばれる十三夜。中秋の名月の次に美しいとされる月がお目見えです。お買い求め頂いたバローロを傾けながら夜空を見上げるには絶好の機会ですね。さらに10/17はスーパームーン。
地球から最も近い距離で満月を眺めることができますよ。銘酒を片手に秋の夜長をお楽しみくださいませ。
それではスタッフ一同、みなさまのご来店お待ち申し上げております。
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