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至高のブルゴーニュ・ワインを求めるブルゴーニュ・ラヴァーにとって唯一無二の存在であるドメーヌ・コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ。ジョルジュ・ルーミエらと同様、その名前を知らぬ者はいない程のシャンボール・ミュジニー最高の造り手です。
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誰もが恋い焦がれる
極上のワインを生み出すドメーヌ。
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ブルゴーニュで最も優美で洗練されたワインを生み出す地と言われるシャンボール・ミュジニーにおいて最上級のドメーヌとして君臨するコント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ。
ドメーヌの歴史は1450年まで遡り、今日のドメーヌ名となっているジョルジュ・ド・ヴォギュエ伯爵が継承したのは1925年のこと。現在、ドメーヌを所有しているのはヴォギュエ伯爵の孫娘たちですが、運営については、栽培責任者のエリック・ブルゴーニュ氏、醸造責任者のフランソワ・ミエ氏、販売担当者のジャン・リュック・ペパン氏という、俗にいうヴォギュエの三銃士によって行われています。言わずと知れた特級畑ミュジニーの10.85haの区画のうち、その70%に相当する7.2haを所有。ボンヌ・マールもこのクリマ最大の2.7ha、レ・ザムルーズは0.56haと、シャンボール・ミュジニーを代表する畑の数々を所有しています。
1970年代、80年代には低迷していた時期もありましたが、1985年より醸造責任者を務めているフランソワ・ミエ氏(写真:左)の手により、見事不死鳥の如く復活しました。彼が実践した改革とは、生産量を抑え、その年の条件に合わせた造り方に変えること。また、シャンボール・ミュジニーが持つ「エレガンス」を最大限に引き出すために特級ワインでも新樽の比率を低めに抑え、ブドウ本来が持つ味わいを生かすようにしたこと。その結果、目を見張る高品質なワインを続々と誕生させ、ブルゴーニュきっての揺るぎない品質を保つ、誰もが恋焦がれるワインを生みだすようになりました。
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誰も真似できないワインで頂点を極め、
今なお進化を続ける稀有な造り手。
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ヴォギュエを語る上で外せないのが、ブドウの樹齢へのこだわりです。ヴォギュエのフラッグシップ、ミュジニーには樹齢25年以上の古樹しか使わず、25年に満たない樹のブドウはグラン・クリュのブドウであっても全てシャンボール・ミュジニー・プルミエ・クリュに回すというのは有名な話です。そのようなこだわりについて、フランソワ・ミエ氏は次のように語っています。「ワインのボディは技術で造れます。でも、余韻だけは絶対に造れない。地中深くからミネラルをふんだんに吸収するからこそ、永遠に続くかのような余韻を味わえる」。シャンボール・ミュジニーの頂点に達してもなお、ワインのエレガンスやブドウの樹齢に強いこだわりを持ち、進化を続けている稀有な生産者であることがよく分かります。
そんなミエ氏については、ロバート・パーカー氏も五つ星生産者として高く評価しています。 また、パーカー氏は著書である『ワインバイヤーズ・ガイド』にて、ヴォギュエのことを 「ここはシャンボール・ミュジニーで最も重要かつ有名なブドウ園である」「間違いなくブルゴーニュのブドウ園のベスト5に入っている」 と表現しており、ルロワやデュガ=ピイなどと同様に賞賛しています。
ヴォギュエのワインは華やかな香りと凝縮感がありながら、神経質と言われる程に繊細なのが特徴。ワインのほうから飲み手に近づいてくるようなタイプではなく、静かで、荘厳なドメーヌの雰囲気と共通する独特の空気感をまとっています。飲み手がワインに歩み寄って行き、ある一線を越えないと本当の姿は見えてこないと言われているため、なんとも気難しそうな印象を受けますが、互いの波長が完全に合った際には無上の喜びがもたらされ、その得も言われぬような幸せな機会に出会うため、じっくりとその時を待つのもワインラヴァーの醍醐味に違いありません。
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フランソワ・ミエ氏が「楽しい春」と語る 最新ヴィンテージ2016年。
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2016年のブルゴーニュは4月の霜害と5月の2度の雹害に襲われ、収穫量が非常に減少したことで、ブドウの生命力と栽培家の力量が試された年となりました。しかし8月から収穫までは天候も回復し、暑い夏となったことで果実はしっかりと成熟。収量は低かったものの、生命力豊かでエレガントな酸とミネラルを備えたブドウが収穫されました。良年の2015年のワインがしっかりとした果実味と豊かな糖分を備えたスタイルであるのに対して、2016年のワインは上質な酸を伴うフィネスに富んだ、まさに真のブルゴーニュ愛好家に飲んでいただきたい味わいに仕上がっています。
ヴォギュエが大半のエリアを所有しているシャンボール・ミュジニーにおいては、斜面上部から下部まで霜の影響を大きく受けながらも、霜害の後に芽吹いたブドウは気候に恵まれ、完璧な状態で熟すことができました。このブドウのおかげで、造りだされたワインは例年以上の出来栄えに。フランソワ・ミエ氏曰く「2016年を季節に例えるならば春。フレッシュな花やレッドベリーを連想させる。また1998年ヴィンテージと同様に、熟成を経てもストラクチャーをしっかりと保つことができる。」とのこと。
溢れるフレッシュ感が魅力の、長期熟成のポテンシャルにも非常に優れた素晴らしいヴィンテージながらも、ヴォギュエ全体の生産量は気候の影響により激減し、平年のなんと3分の1ほど。シャンボール・ミュジニー プルミエ・クリュ レ・ザムルーズにおいては僅か4樽のみの生産となりました。
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