ボルドー五大シャトーの1つとして世界に名を馳せるシャトー・ラトゥール。そのオーナーであるフランソワ・ピノー氏が世界最高峰のブルゴーニュワイン、ロマネ・コンティを生み出す魅惑のアペラシオン、ヴォーヌ・ロマネの地にて2006年にスタートさせたドメーヌがデュージェニーです。この衝撃的なニュースは、当時ブルゴーニュ全土を震撼させ、大きな話題となりました。 フランソワ・ピノー氏は、ブルゴーニュの優れたドメーヌとして知られていたルネ・アンジェルの畑を購入。シャトー・ラトゥールと同じくフレデリック・アンジェラ氏を総支配人として迎えました。設立当時、ボルドー随一の資本家がブルゴーニュの名門ドメーヌを買収するにあたって、地元の生産者からは非常に厳しい視線が注がれていましたが、フレデリック・アンジェラ氏は、ブルゴーニュのテロワールに関する知識と経験豊富な現地スタッフを配置することで品質主義を徹底。その成果は目覚ましく、年を追うごとにクオリティを着実に引き上げ、2011年以降毎年、ワイン・アドヴォケイト誌においてグラン・エシェゾー、エシェゾー、クロ・ヴージョのグラン・クリュ3銘柄が全て90点以上の高得点を獲得。今では地元生産者たちからも異色のブルゴーニュ生産者として、一目置かれるまでに成長を遂げています。
ドメーヌ・デュージェニーが所有する畑は、全て合わせても僅か6.5ha。このことだけでもデュージェニーのワインがいかに稀少かということは一目瞭然です。またシャトー・ラトゥールの"ランクロ"に相当するように、あのロマネ・コンティやラ・ターシュにほど近い、非常に優れた畑を"クロ・デュージェニー"という特別な区画として管理しています。 栽培に関しては、シャトー・ラトゥールと同様にビオディナミ農法を採用。またフレデリック・アンジェラ氏は、テロワールの尊重に最も重点を置いており、区画ひとつひとつの個性にこだわって醸造しています。例えば、所有する3つのグラン・クリュにおいて、グラン・エシェゾーはフィネスとエレガンスが特徴の女性的なスタイルに、一方、エシェゾーは堅固なタンニンが特徴の男性的なスタイルに、そしてクロ・ヴージョは、繊細なフィネスと骨格あるスタイルと、畑の個性を忠実に表現。その味わいは年々洗練されてきていると、アンジェラ氏が誇らしげに語るほどです。
ドメーヌ・デュージェニーでは、2006から2008年までニュイ・サン・ジョルジュに本拠地を構える名門ネゴシアン、ルぺ・ショーレの旧醸造施設を間借りしてワイン造りを行っていました。その後2009年、ヴォーヌ・ロマネに醸造施設を購入しデュージェニーとしてのワイン造りを本格化させます。新たな施設には、高性能な温度調節システムを搭載し、緻密な区画別セレクションを行うことの出来る設備を完備。様々な容量の木製の発酵用タンクを用意し、性質の異なるブドウごとに別々に仕込みを行うことが可能になりました。 入念な選果作業を経た上質なブドウは、7〜10日間の低温浸漬の後、アルコール発酵。発酵初期のピジャージュ頻度に関しては、ヴィンテージ毎の果実主成分およびフェノール成分の品質に応じて調整しています。除梗については原則として完全除梗ですが、クロ・ヴージョは無除梗のキュヴェと完全除梗のキュヴェを造り、それをアッサンブラージュすることで力強さと丸みを帯びた豊かなアロマをもたらしています。新樽の使用比率と熟成期間も明確で、村名クラスで約40%、プルミエ・クリュは約50%、グラン・クリュで最大80%と定められています。さらに2015年からはアロマの純粋さ、透明感をより引き出すために、亜硫酸を減らす醸造方法に挑戦。ブドウのその年の出来栄えに合わせて、亜硫酸の添加を最低限に抑えています。 こうして造られるワインは、若いうちは華やかなアロマと凝縮感溢れる果実味を堪能することができ、熟成を経るにつれて複雑味を帯びた妖艶な味わいに変化するのが最大の魅力。その圧倒的な存在感とエレガンスを極めたスタイルは、シャトー・ラトゥールに通ずるものがあると言っても過言ではありません。ブルゴーニュ好きの方はもちろん、ボルドー好きの方にも是非飲んで頂きたい特異なブルゴーニュワインなのです。