ジェームス・ハリデー5つ星生産者に認定された、バロッサ・ヴァレーの老舗ワイナリー、ケーズラー。樹齢100年を超える古樹シラーズを使用して高品質なワインを造り、各評価誌から一貫して高い評価を獲得しています。ワイン・スペクテーターでは、オーストラリアのベンチマークとして紹介されるなど、オーストラリア国内のみならず、世界的に認められている注目生産者です。

南オーストラリア州のバロッサ・ヴァレーに位置するケーズラー。1840年代にケーズラー家がシレジア（現在のポーランド南西部からチェコ北東部）より移住し、1893年に最初のブドウ樹を植樹したことから、ワイン造りが始まりました。その後1999年に、古樹を擁するケーズラーの畑にレイド・ボスワード氏が目を付け、ワイナリーを購入したことで、新たな歴史が始まったのです。

彼は、ワイン・アドヴォケイトで「非常に才能のあるワインメーカー」と評価されている優秀な人物。アデレード大学にて醸造学を学んだ後に、国内だけでなく、ボルドーのリュルトン・グループなど世界各国のワイナリーで実績を積んでいきました。

ケーズラーを購入したボスワード氏は、最初に畑を細部まで分析。井戸の水に塩分が多いことから灌漑を中止した結果、畑が活性化しワインの品質は飛躍的に向上し、有名なワイン評論家ジェームス・ハリデーの格付けで5つ星を獲得するなど、成功を収めていったのです。ボスワード氏は、バロッサ・ヴァレーのワイン業界におけるこれまでの功績から、2014年に「バロンズ・オブ・バロッサ」の栄誉を受けるなど、バロッサ・ヴァレーを代表するワインメーカーとして評価されています。

また、著名なワイン評価誌ワイン・スペクテーターは、ケーズラーをオーストラリアのベンチマークの1つとして紹介。アメリカのフード＆ワイン誌でも、おすすめのオーストラリアワイン生産者のひとつとして紹介されるなど、オーストラリア国内だけでなく、世界から認められた実績を誇っています。

グルナッシュやシャルドネなどの品種も栽培しているケーズラーですが、特に高い評価を受けているのはシラーズを使用したワインです。2018年のグレーター・オーストラリアン・シラーズ・チャレンジでは、ベスト・シラーズ賞を受賞。『ワイナート26号』は、「バロッサのシラーズの本質は格調高さや緻密さにあるのだと理解している、本物のワイン愛好家にこそ向く。」と、その品質の高さを評価しています。

中でも、ケーズラーを一躍有名にしたのは、オールド・バスタード・シラーズという上級キュヴェ。このワインは1893年に植えられた、樹齢125年を超えるシラーズを使用して造られています。

オーストラリアのワイン商スチュアート・ラングトン氏により2018年に発表された、オーストラリアで最も優れたワインランキングでは、オールド・バスタード・シラーズがランクイン。彼は、「オールド・バスタード・シラーズはバロッサで最も刺激的なワインのひとつ。個々の畑の特徴を活かすという現代のオーストラリアのワイン造りの哲学の本質を捉えている。」と称賛しています。

さらに『ワイナート26号』は、オールド・バスタード・シラーズを「まるでコート・ロティ コート・ブロンドのようにエレガントだった。」と絶賛。著名な評価誌でもリリースの度に高得点を獲得している、まさにワインラヴァー必見の1本です。

ワイナリーが位置しているのは、南オーストラリア州のバロッサ・ヴァレー。バロッサ・ヴァレーは、シラーズの首都ともいえる産地です。この地域ではシラーズの栽培面積が5割を占めており、圧倒的な生産量を誇っています。標高は250m～350m程度と比較的低く、畑はなだらかな平坦地に多いことが特徴。降雨量も少なく、暑く乾燥した気候から、凝縮度の高いブドウが収穫されます。

ケーズラーの畑は、バロッサ・ヴァレーに約37haあり、そのうち70％以上を黒ブドウが占めています。特筆すべき点は、高樹齢のブドウ樹が植えられていること。地中深くまで根を伸ばしている古樹のブドウ樹は、暑く乾燥したこの地でも水分を吸収でき、健全なブドウを結実させることができます。また、古樹では自然と収量が少なくなり、その分果実には凝縮した味わいが生まれます。そのため、古樹由来の複雑な風味と旨味を伴ったワインを造ることができるのです。

ブドウ栽培に関しては、環境再生型農業（土壌を修復・改善しながら自然環境の回復に繋げること）を取り入れています。健全な土壌を維持し改善していくために、ツリーズ・フォー・ライフという南オーストラリア州の土地を保護および再生する慈善団体と提携。ブドウ畑の周辺に植物を植えることで、自然環境や生態系の多様化を促し、土壌改善に繋げています。

さらに、テロワールが表現されたブドウを栽培するために、灌漑は最小限に留め、できる限り手作業による剪定や収穫を実施。収量を抑えるため、房の間引きをほぼ毎年行い、貴重な古樹を今後も残していくために、肥料はエステートで生産された堆肥を使用するなど環境への配慮も欠かしません。

ブドウは収穫後、最終的なブレンドまで区画毎に醸造。ボスワード氏がフランスやモルドバ、南アフリカ、スペインなど世界各地で培ったワイン造りの経験が活かされています。ピュアな果実味を引き出すために、すべてのワインを低温で発酵し、ワインの熟成ポテンシャルを高めるためフレンチオークを使用。目の細かいフレンチオークは優しいフレーバーを加え、よりシルキーなタンニンを与えてくれます。そのバランスがバロッサのブドウの自然な優しさを引き出し、長期熟成も可能なワインに仕上がるのです。