フランス、ロワール川左岸に位置するサンセール。フランス随一のソーヴィニヨン・ブランの産地として知られ、爽やかな柑橘系のアロマと、「火打石」と表現される豊富なミネラル感を備えた白ワインが生み出されています。そのサンセールにて家族4代に渡りワイン造りを続ける老舗ドメーヌがドメーヌ・ヴァシュロン。ヴァシュロンは、全てのワインがビオディナミ認証を受けている自然派の造り手です。ワイン＆スピリッツでは2018年TOP100生産者に選出された実績を持つ、サンセールの名門ドメーヌとして知られています。

ドメーヌ・ヴァシュロンは、ソミュールのクロ・ルジャール、プィイ・フュメのディディエ・ダグノーと並んで、ロワールを代表するサンセールの造り手。1900年代初頭にモーリス・ヴァシュロン氏がわずか1haのブドウ畑から創業して以来、4代に渡って家族経営を続けています。

創業した当時のサンセールではワイン産業が盛んではなく、穀物の栽培と牧畜も行っていましたが、2代目のジャン・ヴァシュロン氏の時に、本格的にワイン造りを開始。彼はAOC.サンセールの栽培者組合長も務め、さらに後に単一畑のキュヴェとしてリリースすることとなる、「レ・ロマン」の区画整理を実施しました。

3代目のジャン・ルイ・ヴァシュロン氏とドニ・ヴァシュロン氏兄弟は、サンセールにおける最良のテロワールを求めて、さらに畑を拡大。生産量も次第に増え、ドメーヌも大きく成長した結果、2021年には老舗シャンパーニュメゾン、ポル・ロジェのポートフォリオ傘下に入るなど、サンセールを代表する造り手として一目置かれるようになったのです。

ドメーヌ・ヴァシュロンはワイン・アドヴォケイトにて「サンセール最良の生産者のひとつ」と高く評価され、ワイン＆スピリッツでは2018年のTOP100生産者に選出。また、イギリスの著名なワイン評論家、ジャンシス・ロビンソン氏の「ロワールの星」という記事では、二コラ・ジョリーやディディエ・ダグノーと並んでヴァシュロンが紹介され、高評価を獲得しています。

彼らが手掛けるワインは、これまでワイン評価誌にて見事90点以上を獲得した高評価銘柄ばかり。ワイン・アドヴォケイトやワイン・エンスージアスト、ヴィノスにて毎年、高得点を獲得しています。まさに、名実ともにサンセールのトップ生産者とも言うべき、ロワールを代表する生産者なのです。

所有する約49haの畑は標高300～350mの場所に位置。その内、約7割はソーヴィニヨン・ブランを、その他はピノ・ノワールを植樹しています。畑は「火打石」を意味するシレックスという土壌や、粘土石灰質土壌を中心に構成。土壌由来の豊富なミネラルがブドウに与えられます。

ドメーヌの栽培の特徴はビオディナミ農法によるワイン造り。2016～2018年までは世界でも厳しいオーガニック認定の1つとも言われる「デメター」から認証を取得し、2019年からは「エコセール」認証を取得しています。さらに「ビオディヴァン」というビオディナミの生産者組合にも加盟。ビオディナミ生産者の中でも、特に最新かつ高度な方法を追求しています。

栽培には合成肥料は使用されておらず、用いられるのはたい肥のみ。収量は非常に低く抑えられ、土壌の成分が詰まったブドウが実ります。収穫は手摘みで実施し、上質なブドウを厳選。醸造においては、自然酵母による発酵を行い、さらにフィルターを通さずに瓶詰めすることで、ブドウ本来のナチュラルな旨味がワインに反映されます。

こうして丁寧に造られるヴァシュロンのワインは、テロワールが最大限に表現されたスタイル。ブルゴーニュのように単一畑から造られるワインは、サンセールの到達できる複雑さを世界に知らしめている逸品です。口に含むと広がる豊かなミネラル感とシャープな酸、複雑なニュアンスが魅力。長期熟成に耐えうるポテンシャルも備わっており、愛好家の皆様にはぜひお試しいただきたいワインです。