フランス、ボルドーのメドック格付け第一級に君臨する、シャトー・ムートン・ロスチャイルド。そのシャトーを所有するのが、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社です。ボルドーで培ったワイン造りの技術を活かして、カリフォルニアの重鎮ロバート・モンダヴィとのジョイント・ベンチャーであるオーパス・ワンや、チリのコンチャ・イ・トロとの提携で誕生したアルマヴィーヴァなど、ニューワールドでも次々と銘酒を世に送り出し、高い評価を得ています。

そのバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社が、本拠地ボルドーで手掛けるカジュアルワインとして世界で人気を博しているのが、こちらのムートン・カデです。ムートン・カデは、1930年にメドック格付け第一級シャトー・ムートン・ロスチャイルドのブドウが不作となり、リリースできなかった年に生まれたという誕生秘話を持つ、ムートン直系のブランドワイン。

発売以来、一貫して高いクオリティーと時代に合った美味しさを追求したムートン・カデは、今日では100ヵ国以上で発売され、世界で愛されるボルドーワインブランド（※）として知られています。 (※2018年 IWSR調べ)

ヴェネチア映画祭、ベルリン映画祭と並び、世界三大映画祭の1つとして挙げられるカンヌ国際映画祭。2018年に開催された第71回カンヌ国際映画祭では、是枝裕和監督の『万引き家族』が見事、最高賞であるパルムドールを獲得。昨年の第74回には、世界中に熱狂的ファンを持つ作家・村上春樹氏の短編小説を濱口竜介監督が映画化した「ドライブ・マイ・カー」が日本映画として初となる脚本賞に輝いたりと、日本でも話題となりました。

そんなカンヌ国際映画祭のオフィシャルサプライヤーをムートン・カデは1992年より務めており、映画祭のパーティー会場に設けられる華やかな特設ブースで、俳優や各国のセレブリティたちに親しまれています。

カンヌ・リミテッド・エディションに使用されるブドウ畑は、ボルドーのガロンヌ川右岸に広がるアントル・ドゥー・メールとプルミエール・コート・ド・ボルドーに位置しています。日当たりに恵まれた斜面と粘土石灰質の土壌が特徴。日差しをたっぷりと浴びた凝縮感のある果実味と石灰岩由来の洗練された酸味を兼ね備えた上質なブドウが育ちます。 

従来のカンヌ・リミテッド・エディションは、スタンダード・キュヴェのムートン・カデ・ルージュに使用されるブドウから造っていましたが、2016年ヴィンテージよりリニューアル。

より高品質なブドウが栽培されているコート・ド・ボルドー産のブレンド比率を上げると共に、樽への漬け込み時間を長めに設定。そうすることで、ワインに複雑性や骨格を与え、高級感のある味わいに生まれ変わりました。まさにカンヌ映画祭のためだけに造られた、スペシャル・キュヴェと言えます。 

素晴らしい収穫条件が整った、2019年のボルドー地方。昼夜の寒暖差がブドウに鮮度をもたらし、恵みの雨がブドウの過熟を防ぎ完熟を助け、テロワールに祝福されたヴィンテージとなりました。凝縮したブドウより生み出されたワインは、ボルドーらしい品格に、生き生きとした鮮度が加わった驚くべきバランスを兼備。クラシック＆モダンが融合したような新たな魅力をもつワインが数多く生まれた、比類ないグレートヴィンテージです。

やや紫がかったルビー色の外観。グラスに注ぐと、熟したラズベリーやブラックベリー、カシスなど果実のアロマと、バニラやコーヒーの香りが漂います。時間の経過と共に、果実のアロマは濃密さを増し、わずかなカモミールを思わせるニュアンスが印象的。口に含むと、豊かで濃密な果実味が力強く広がり、洗練されたタンニンは滑らかな口当たりを演出。酸味が緩やかに溶け合った後、余韻には香り同様ベリーとバニラの風味が続きます。しなやかで丸みのあるボディと、果実の上質な味わいが魅力です。

世界でも指折りのワインメーカー、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社が手掛けるお手頃なワイン。お好きな映画やお食事と共に、特別なひと時をお楽しみください。