オー・メドック地区南部のル・ピアン・メドックに佇むシャトー・セネジャック。16世紀から続く城館とポプラ並木が美しいこのシャトーは、サン・ジュリアンの格付け第四級シャトー、タルボのオーナーとしても名高いコルディエ家が現在所有しています。タルボと言えば、ワイン評論家ロバート・パーカー氏が「あらゆる面から見て大変魅力のあるワイン」と評価したボルドーワインを生み出すシャトーです。

セネジャックは、1999年にコルディエ家が管理するようになってから、ワインの品質が飛躍的に向上しました。2003年6月のクリュ・ブルジョワ格付け見直しの際に、わずかに9シャトーというクリュ・ブルジョワ・エクセプショネルに次ぐ、クリュ・ブルジョワ・シュペリュールに昇格。2020年2月の見直し時には、十分に地位を確立していることから格付けへの参加を見送りましたが、その高い品質や安定感のある味わいからボルドーファンを魅了するシャトーの一つとなっています。

また、格付けシャトーである本家タルボとは異なり、自由にワインのスタイルやテイストを変えることができるセネジャックは、オーナーファミリーにとって自分たちが造りたいスタイルを表現できる、思い入れの強いシャトーでもあるのです。

シャトー・セネジャックがあるル・ピアン・メドック村は、マルゴー村の南西部に位置。所有する畑は小高い丘に広がり、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロ、カベルネ・フラン、そしてプティ・ヴェルドが栽培されています。砂まじりの粘土砂利質土壌のため水捌けが良く、ブドウへ過度に水分ストレスがかからないため、ブドウにとって理想的な生育環境と言えるでしょう。

所有する41haの畑のブドウ樹の平均樹齢は35年。栽培にはポイヤックのシャトー・ポンテ・カネをトップシャトーにまで押し上げた、オーナーのアルフレッド・テスロン氏のチームが2008年から参加しています。果実を最も成熟した状態で収穫するために、一区画ごと何度も畑を回り果実の味を確かめ、その分析結果により収穫スケジュールを決定。ブドウは手摘みで収穫された後綿密に選別され、合格した果実は発酵樽へと移されます。

ワイン造りにおいて、セネジャックが掲げているのが「次世代への継承」。特に「環境」を意識しており、国際規格ISO 14001に基づく環境マネージメントシステム(EMS)を導入したワイン造りが行われています。

醸造は畑の区画ごとに温度管理可能なステンレスタンク内で行われ、約20～30日間で濃厚な色合い、繊細なタンニン、そして複雑なアロマをゆっくりと抽出。その後のマロラクティック発酵で、ワインのしなやかさが増し、心地の良いワインへと仕上げられます。その年の冬に試飲をしブレンドを決定した後、新樽率30％にて12～14ヵ月間木樽熟成し瓶詰め。シャトーで一定期間寝かせてから出荷されます。

外観は紫がかった深みのあるガーネット色。ブラックベリーや木イチゴの赤・黒系果実のアロマに、甘草や黒コショウ、熟成由来のタバコや林床などのニュアンスも顔を出し始めています。口に含むと、柔らかい果実味や質の高い酸味、優しいタンニンが広がる味わい。余韻にはタバコや紅茶の風味が感じられます。

料理と一緒に楽しむなら、ローストチキンや赤身肉のステーキ、キノコを使った料理がワインの華やかな果実味と好相性。シチュエーションを選ばないいつでも気軽に楽しめる1本を、様々な場面でぜひご堪能ください。