バローロ・トルトニアーノ

5世代に渡るブドウ栽培農家に生まれたミケーレ・キアルロ氏は、
1956年、アスティ県のカラマンドラーナに小さなワイナリーを設立し、醸造をスタートさせます。
ガヴィ、アスティ・スプマンテ、バルベラ・ダスティなどの
相当な生産量を誇り、大規模ビジネスを展開していきました。
特に、バルベラ・ダスティは、1988年以来ガンベロ・ロッソ誌で
トレ・ビッキエリ3つグラスの最高評価を獲得し続けており、
日常ワイン用品種を世界的レベルまで昇華させ、
その名前を広めるきっかけとなったワインです。
そして、カンヌビやチェレクイオ、ロッケといったバローロ屈指の畑を購入し、
彼の実力はバローロにおいても発揮されることになります。

他の有名生産者と共にバローロのレベルを高めるため、
彼が目指したのは、タンニンを和らげながらも、特徴的な個性と長命さを維持すること。
そのためにブドウの房を徹底的に少なくし、
醸造所内での発酵温度のコントロールと浸漬時間の短縮を実践しました。
そして、熟成は伝統的な大樽ではなく、新樽率50％の700リットル樽で行われます。
この製法は、1988年ミケーレ・キアルロが編み出したもので、現在でも変わっていません。
こうして造られるのは品種と土地の個性が最大限表現されたワインです。

現在でも唯一大樽で精製されており、
50年間「クラシック」なバローロのスタイルを守り続けているバローロ・トルトニアーノ。
使用されるのは、チェレクイオの丘にある厳選された6haの区画から取れるブドウ。
チェレクイオは、イタリアワインの帝王と称される生産者ガヤの他、
わずか数件の造り手しか所有していない幻の特級畑です。
バローロ村からラ・モッラ村にかけて円形劇場のように広がるこの畑は、
バローロの歴史上でも最も偉大なる銘醸畑のひとつで、
「偉大なランゲの畑の中で最も美しい凝縮感」であると評されてきました。

畑は南向きまたは南西向き、標高320mに位置し、
マグネシウムやマンガンが豊富な青い泥灰土壌から成ります。
そこから生み出されるワインは、
チェレクイオの特徴を良く表したミントやジュニパーのニュアンスに、
伝統的バローロのスパイシーさがうまく溶け込んでいる味わいが魅力です。