ドメーヌ・パケはプイィ・フュイッセ村の中心に位置し、4世代に渡ってワイン造りを行っている優良な生産者です。ワイン醸造家の息子であり、樽職人の孫であった現当主、ジャン・ポール氏がプイィ・フュイッセにある4ヘクタールの畑を父親から引き継いだのは1978年のこと。その後少しずつ畑を取得し、現在ドメーヌではプイィ・フュイッセ、マコン・フュイッセ、サン・ヴェランを始め、総面積22ヘクタールもの畑を所有しています。

主に小さな丘の東南東、標高250メートルほどに広がっている畑でシャルドネを栽培しており、その中には樹齢50年以上の古樹も存在。2005年からは息子のヤニック氏が加わり、一家でワイン造りに携わっています。

ブドウ栽培やワイン造りに対する姿勢は誠実そのもので、「飲む人が幸せを感じる高品質のワインを造りたい」と強い思いをもち、有機栽培や手摘み収穫を行うなど、土壌やブドウの樹に尊敬と愛情をもって向き合っています。また、樽の風味が過剰につくことを避け、ブドウ本来の風味を活かすために古い木樽を熟成に使用するなど、ワイン造りへのこだわりがあるのもポイントです。

ブルゴーニュ地方のマコネ地区は、北フランスと南フランスの境界地帯に位置し、年間通して日照条件に恵まれています。周辺の代表的ワイン産地の中でも、とりわけ夏は気温が上がりやすいのが特徴です。シャルドネ種から造られる白ワインが有名で、あの偉大な造り手であるコント・ラフォンやルフレーヴといった優良生産者がすでに進出し、素晴らしいワインを手掛けていることでも近年注目されています。

とりわけプイィ・フュイッセは、あのモンラッシェの地とよく似たミネラル豊富な石灰岩質の土壌を持つとされています。突然の嵐に見舞われたかのような波形をした丘陵地が幾つも連なる地形は、その斜面と壁のような岩山によって雨風にさらされることがないため、白ワインにとって理想の地です。2020年にはその秀逸なテロワールが見直され、22のクリマがプイィ・フュッセでは初となるプルミエ・クリュ（一級畑）として認められました。

そんな素晴らしいテロワールを持つプイィ・フュイッセにおいて、ドメーヌ・パケは可能な限りナチュラルでテロワールの良さを表現したワインを目指して、有機農法を取り入れた環境に優しいワイン造りを行っています。ブドウの平均樹齢は40年で、標高250～300mに位置する粘土石灰質土壌の畑で成熟。収穫は完全に手作業で行い、個々のブドウの木から健康で円熟しているブドウを選別します。

醸造では雑味が出ないように空気圧式プレスを使用して優しく丁寧にブドウ果汁を抽出した後、温度管理された木製タンクで発酵・熟成されます。アルコール発酵は自然酵母を用いてゆっくりと行うことで、ブドウ本来の純粋な香りを保ちながらもテロワールの特徴を最大限に表現。その後マロラクティック発酵を経て、澱とともに6ヵ月間熟成させた後、濾過され瓶詰されます。こうして仕上がったワインはテロワールの特徴を最大限に引き出していることはもちろん、たっぷりとした果実味が魅力の、ふくよかで豊かなスタイルです。

グラスに注ぐと輝きのある明るいイエローの色合い。柑橘系果実や熟したリンゴ、桃の華やかなアロマにアカシアの花やハチミツ、ナッツのニュアンスが重なり、口に含むとふくよかな果実味と、しっかりとしたミネラル感が広がります。透明感のある綺麗な酸が全体をバランスよく引き締め、ほのかに香る香ばしい樽の香りとともに余韻となって長く持続。全体としてバランス感が良く、深いコクを伴った芳醇な味わいです。

食事と合わせるなら、甲殻類をシンプルに焼いた料理が芳醇でドライなワインの味わいと好相性。また、ホタテやチキン、仔牛のクリームソースなどのコクのあるソースを使ったお料理もプイィ・フュイッセの持つクリーミーなまろやかさとよく合います。ぜひ、普段の食卓でマリアージュをお楽しみください。