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石田博氏のテイスティングノート

石田氏のプロフィール
スパイス


近年、いや、そうなって久しいと言えますが、ニューワールドの品質向上は目覚ましいものがあります。日本ではニューワールドというと、オーパス・ワンをはじめカリフォルニアの超高級レンジや、オーストラリアのグランジやヘンチキ、チリのアルマヴィーヴァといった1万円以上のものか、あとは1000円前後の廉価なもの、「安ウマワイン」なんて呼ばれていましたね。そんなイメージだったかと思います。しかし、その中間のゾーンの品質の高さは伝統国と全く遜色がなく、ブラインドテイスティングではまず間違ってしまいます。

技術革新や発展を遂げているのは、伝統国にもみることができます。いわずと知れた銘醸ワイン産地の著名な造り手たちも世界中を旅し、英語を話し、ニューワールドからも学んでいます。世代交代が進んでゆき、これまでの格式、習わしなどから徐々に脱却してきていることも、その発展を助けています。イタリアのフリウリは、大変活発な産地で、土着品種と国際品種が見事に共存し、かつ醸造もアンフォラやスラヴォニアンオーク樽といった伝統を今も尊重しつつも、洗練されたワイン造りも進んでいます。
イエルマンはまさにその革新の旗手で、4代目となる当主が1970年代から大きな発展を遂げてきました。ドリームスやヴィンテージトゥニーナは、「時代を創った」といっても過言はないでしょう。

さて、そんな洗練を遂げたニューワールドと伝統国の違いをテイスティングでどのように捉えるか、はプロとして大きな課題です。もちろん、それはシンプルなものではなく、複数の要素がからんでいます。
そのうちの一つであり、大きなポイントとなるのが、「グリップ」です。英語としてはよく聞かれますが、テイスティング用語としては聞きなれないかもしれません。味わいのコメントで、文字通り「舌を掴まれる」、つまり酸味が際立っていて、引き締まった印象を与える、という意味と私は解釈しています。ニューワールドでも冷涼なエリアのワインは酸味が豊富です。しかしこのグリップの具合は、伝統国のワインのほうが顕著に感じられることが多くあります。

しかし、これも数多くあろう要素のなかの一つに過ぎませんから、グリップが強いから伝統国、という直接的な考えには注意をしなければいけません。また新しい発見、解釈が生まれるわけですから。テイスティングは、奥が深く、果てしないものですね。
イエルマンのヴィナーエ2014は、グリーンを帯びた中濃度のイエローで、外観からもそのフレッシュ感がうかがえます。香りはおだやかで、率直、クリーンです。りんご、洋梨、西洋サンザシ、石灰質と透明感を感じさせます。味わいは、しっかりとしていて、ふくらみがあります。アルコール度数は12.5%に抑えられていますが、この広がりはブドウの成熟度の高さからでしょうか。このふくらみに包まれている、きめ細かな酸味が味わい全体を引き締め、ドライフィニッシュとなります。なめらかでフローラルな芳香ただよう余韻が残ります。

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