第17回 気品

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公開日 : 2018.3.22
更新日 : 2023.7.12
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奇怪な用語が飛び交うワインテイスティング。フルーツや花ならまだしも、スパイスにミネラル、焦げ香??しまいには動物臭?! ですが、これにはきちんと意味があるのです。ソムリエ目線で、毎回難解なテイスティング用語や表現などを解明! あなたもイメージを膨らませてテイスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか?

1 気品

ワインの表現には、フランス語らしく、「気高い」言葉がいくつもあります。「上品」、「エレガント」、「洗練」、「フィネス」、まだまだ出てきそうです。ワイン好きのお客様に、「ソムリエさんが、このワインは上品とか、エレガントとか、言うときは大体軽いんだよな。ワインが軽いときに、よく言うために使うんでしょ」と、言われたことがあり、「違いますよ」とお答えつつも、「一理あるな」とも思ったことを覚えています。

確かに、ワインは、特に赤ワインは熟成により、香りのトーンは下がり(同時に複雑になってゆきます)、味わいもスムースになり、タンニンはサラサラとした触感となりますので、飲みやすくなります。いわば「軽い」という表現もあながち間違いではないのです。

「フィネス」や「エレガント」については、また次の機会にお話させていただくとして、今回は、これら、「軽い」と相通ずる表現とは一線を画する表現、「気品」についてお話ししたいと思います。 みなさんは、「あの人は気品がある」と、どんなときに使いますか?上品やエレガントとどう使い分けていますか?以前、そんなワインの表現について議論したこともあるのですが、私は、「育ちの良さ」、「素姓の良さ」がベースにあるもの、と理解しています。

ワインにおいて、それは、まずはブドウ畑は古くから格付け上位にあり、伝統ある名門、名家を受け継いできた造り手により、育まれたワインとなります。 現在、世界中に素晴らしいワインを生み出す生産地、生産者があります。「エレガント」と表現できるワインも生まれています。 しかし、素姓のよさは、どこでも、誰もが手に入れられるものはなく、「気品のある」ワインはごく限られた生産地から、ごく限られた生産者が生み出すものなのです。

その一番の例が、ボルドーです。「ワインの貴婦人」と評され続け、かの格付けから160年がたとうとしていますが、いまだに世界の中心にあるといっても過言ではありません。そんなボルドーに今も名家によって受け継がれているシャトーも存在しているのです。

ムートン・カデ・レゼルヴ・メドックは、やや紫がかったガーネット、外観からは強さを感じ取ることができますが、色の抽出度、粘性、どれをとっても行き過ぎたところがなく、抑えがきいています。

香りも、ほどよい濃縮感があり、よく熟したカシス、ヴァニラ、焦げ香、時間とともに土っぽい香りも出てきて、深みも感じられます。同時にスミレの香りが漂います。強く、深く、華やかです。

味わいは全体に濃縮感がしっかりとありますが、バランスがよく、スムースです。ヴォリュ—ムのあるボディと緻密なタンニンも心地よい均衡を保っています。

深みのある余韻は、スミレの花の香りを残します。ダイナミックで、包容力があり、名家を守り抜いた誇りと気品漂う、マダムが投影されていると言っても決して過剰ではありません。

1930年、シャトー・ムートン・ロスチャイルドを瓶詰めできなかったことから生まれたムートン・カデ。こちらは、偉大な銘醸地、メドック産のブドウだけを用いて造られる上級シリーズ。生みの親であるフィリップ男爵の情熱を受け継ぎ、その娘であるフィリピーヌ女史がさらに発展させ、今や世界150ヵ国以上で愛される、ムートン直系のブランドワインの傑作です。

「気品」を感じるワイン

ムートン・カデ・レゼルヴ・メドックバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド(フランス ボルドー)

2,800 円 (3,024 円 税込)

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