きっかけは1杯のコーヒー!? 27歳の若さでMOFを受賞したフランスのトップソムリエが語る“ソムリエの仕事”

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レポート
公開日 : 2019.3.28
更新日 : 2019.3.28
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アントワーヌ・ペトリュス氏
2007年にフランス最優秀若手ソムリエ(リュイナール杯)に、翌2008年に『Le Chef』の「ソムリエ・オブ・ザ・イヤー」を受賞。そして2011年、弱冠27歳という若さでソムリエとして、フランス国家最優秀職人章(MOF)を受賞。現在はパリの名門レストラン、タイユヴァンの総支配人を務めるフランスの若きトップソムリエ、アントワーヌ・ペトリュス氏が来日。
ソムリエを志したきっかけから、多忙を極める毎日についてインタビューさせていただきました。
目次

その数35万本!フランス随一を誇るタイユヴァンのワインセラー

インタビューの様子
1946年、フランス・パリで誕生した老舗レストラン「タイユヴァン」。1973年から33年間三ツ星を守り続け、最も予約が難しいレストランの一つとして知られています。料理だけでなくワインのセレクションでも高い評価を受けており、ワインショップであるレ・カーヴ・タイユヴァンを併設するほか、一流生産者に瓶詰めを依頼したオリジナルのワイン「コレクション・タイユヴァン」でも知られています。
タイユヴァンが誇るワインのストックは、約7,500種類、約35万本。「フランスでは間違いなくトップ、いや世界一と言ってもいいかもしれない。」とアントワーヌ氏が自信たっぷりに語るように、フランス随一の品揃えを誇ります。
これらの膨大なワインストックはレストランの地下にとどまらず、パリのヴェルサイユ宮殿近くの地下セラーに貯蔵しているそうです。そこはアントワーヌ氏曰く、「ワインがたくさんあって、まさにパラダイス!場所は秘密ですけどね。」というワインラヴァーにとって夢のような場所のようです。

“飲み頃”を見極める毎日のテイスティング

インタビューの様子
タイユヴァンのこだわりは「常に飲み頃のワインだけを提供すること」。アントワーヌ氏によると、レストランでは基本的には熟成年数が10年未満のワインは出さないというから驚きです。
30万本を超える膨大なワインのストックの中から飲み頃を選ぶのは大変そうですが、アントワーヌ氏は3人のアシスタントと共に、ワインリストから毎日数種類のワインのテイスティングを欠かさず、飲み頃を見極めているそうです。

多忙を極めるトップソムリエの1日

アントワーヌ・ペトリュス氏
ソムリエの仕事はレストランでのサービスだけにあらず。フランスを代表するトップソムリエの仕事とは、いったいどのようなものなのでしょうか? アントワーヌ氏にお願いして、ある1日の仕事内容を教えていただきました。

アントワーヌ・ペトリュス氏が語る ソムリエの1日

AM 6:00

まず毎朝6時には起きて仕事を始めます。朝のパリはとっても静かなので、その時間にワインの生産者に手紙を書きます。そしてタイユヴァンにはパリ以外にも、ロンドン、ベイルート、そして日本(レ・カーヴ・ド・タイユヴァン 東京)に支店があるため、それぞれの国の担当者とメールでやりとりします。

AM 8:00~10:00

レストランに出勤し、ワインの生産者や取引先の対応をします。

11:00~

ランチサービスの準備を始めます。本日どういったお客様がいらっしゃるのかなど、チームで共有し、事前打ち合わせをします。

12:00~15:00

ランチのサービスが始まります。テーブルでお客様にワインのアドバイスをしたり、お客様と様々な会話をします。

15:00~19:00

サービス、マーケティング、経理部門と様々な打ち合わせを行います。

19:00~

ランチの時と同じようにディナー開始前に打ち合わせをした後、19:30からディナーのサービスが始まります。だいたいいつも深夜0時か1時くらいまで働いています。

何とも多忙な1日! 日本でインタビューしたのは水曜日でしたが、翌日は日本の「レ・カーヴ・ド・タイユヴァン 東京」でのイベント、金曜日はブルゴーニュの生産者を訪ね、その翌日にはロンドンに行くという何ともハードなスケジュールでした。

ソムリエを志したきっかけは、1杯のコーヒー

インタビューの様子
トップソムリエとして多忙を極めるアントワーヌ氏に、ソムリエになったきっかけを尋ねてみました。
「16歳の時に、親戚の結婚式で給仕が食後にサービスで出してくれたコーヒーに感動しました。それは、古くて美しいコーヒーマシーンで入れられたもので、その気品溢れるマシーンにも感銘を受けました。
私の家族は食べることが大好きで、食材やワインの生産者を尋ねては食卓を囲んでいましたが、この出来事がサービスという仕事に目覚めるきっかけとなったのです。」
こうしてサービス業に興味をもったアントワーヌ氏は、ワインにも興味を持ち始め、ワイン関連の本をたくさん読むように。
「学生の頃、ロワールの生産者、ディディエ・ダグノーに惹かれて、意を決して電話をかけました。すると、本人が会ってくれることになり、なんと彼の家のリビングで1日中過ごすことになったのです。そしてこの1日が、私のワイン人生を変えました。
以降、ジャック・セロスやラヤスといった生産者達にも会うことができました。
彼らに会って感じたのは、皆同じような考えをもっているということです。彼らは畑の仕事を大切にし、テロワールを熱心に表現していました。」
一見クールなアントワーヌ氏ですが、ワイン人生の始まりは、生産者に会いたいという熱い想いだったとは!その情熱と行動力に驚かされました。

ワインの造り手と会うのが何よりも楽しい

アントワーヌ・ペトリュス氏
昨年出版した自著「LE VIN」と共に
平日は多忙な毎日を送り、自宅でワインを飲むのもままならないというアントワーヌ氏ですが、週末の楽しみはワイン生産者を訪ねることだそうです。
「生産者を訪ねるのは仕事ではありません。プライベートで、好きで訪れているのです。」
4月にはシャトーヌフ・デュ・パプで行われるワインのイベントに行くことを嬉しそうに語るアントワーヌ氏。それまでの一分の隙も見せないトップソムリエの顔から、一人のワインラヴァーの顔に戻ったのが印象的でした。
フランスを代表するトップソムリエ、アントワーヌ・ペトリュス氏セレクトのワインを試してみたい方は、ぜひ「レ・カーヴ・ド・タイユヴァン 東京」へ!同氏が監修したワインとフードのペアリングも楽しめます。

レ・カーヴ・ド・タイユヴァン 東京

レ・カーヴ・ド・タイユヴァン 東京
LES CAVES de TAILLEVENT TOKYO (レ・カーヴ・ド・タイユヴァン 東京)
住所:東京都中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋 本館8F
TEL:03-3548-0858
営業時間:ワインショップ 10時30分~22時、カフェ&バー11時~22時 (LO 21時30分)
休み:不定(日本橋高島屋店に準ずる)
公式インスタグラム @lescavesdetailleventtokyo 
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