第33回 コンシスタント

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公開日 : 2018.3.25
更新日 : 2023.7.12
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奇怪な用語が飛び交うワインテイスティング。フルーツや花ならまだしも、スパイスにミネラル、焦げ香??しまいには動物臭?! ですが、これにはきちんと意味があるのです。ソムリエ目線で、毎回難解なテイスティング用語や表現などを解明! あなたもイメージを膨らませてテイスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか?

ブレンド

ワインビジネスに携わる職種は、生産者、商社(輸入、卸し)、酒販店、ソムリエだけでなく、コンサルタント、エデュケーター、様々なサービスや、器具・備品の開発など、ますます多岐に及んでいます。それは、ワインが伝統国のもので、自然の産物である、という存在から大きく進化し、世界中に広がり、同時にビジネスとして発展を続けているからだと考えられます。そして、もっとも存在感を高めているのが、マスター・オブ・ワインです。特に大橋健一さんが取得したことで、日本でも認識が一気に高まりました。マーケティングを中心に、様々な情報発信を行い、生産地、ワイナリーや商社、レストランへのコンサルティングやPR、自身でもワインを造るなど大変アクティブです。あまり知った風なことはいえませんが、彼らは生産者と密なコミュニケーションをとりつつも、マーケット、つまり消費者視点での意見、考えを持っているように感じます。それにより、ビオだから、小規模生産だから、健康によいから、といった、ステレオタイプな価値観に対 して、一石を 投じています。先進のトレンドを作りつつも、非常にバランス感覚にとれた情報発信をしていると感じます。

そんな中で、近年見直されるべきなのが、大手メーカーによる安定感のあるワインだと考えます。「ソムリエ、こだわりのセレクション」、「愛好家垂涎のアイテム」こそが、素晴らしいワインではありませんよ、というメッセージです。それらは大変高価で、ボトルヴァリエーション、ヴィンテージヴァリエーションもあります。個性豊かで、複雑さが全面に現れています。つまり、近寄りがたく、扱いにくいのです。そんなワインはごく一部の、限られた方が、局所的に楽しんでいるものなのです。もちろん、それもワインの良さであり、奥深さでもあるのは間違いないのですが。ただ、ワインの魅力は、「近寄りがたさ」ではなく、「楽しさ」であり、美味しく、楽しい時間を演出する最高のツールである、ということです。

コンシスタントは、あまり使われる語彙ではありませんが、私にとっては大変ポジティヴな表現です。語意としては、「整合性のある、一貫性のある、矛盾のない」です。いい言葉でしょう?ワインのテイスティングでは、すべてにおいて安定感があり、整っていると感じるときに使っています。緻密、精密、巧妙という解釈もできます。鮮やかで、澄んだ色合い。開けたてから、香りがしっかりと広がり、フルーツ、花、スパイス、木樽といった香りが調和のなかに感じられ、味わいでは口当たりにやわらかな甘み、中盤では酸味が程よい厚みのボディと同レベルできちんと感じられ、タンニンは緻密でフレッシュ感があり、余韻にフルーツフレーバー。ブドウ品種の個性もきちんと感じられる、そんなワインです。幅広い層、シチュエーション、料理にフレンドリーな、汎用性の高さも魅力です。

ムートン・カデ 2015は、鮮やかなダークチェリーレッド。香りははっきりとしていて、率直で、クリーンです。クランチー(果肉のしっかりした)なブルーベリー、牡丹、バニラ、丁子、シナモンなど甘やかな印象。生肉や土っぽさからメルローらしさを感じ取ることができます。味わいはソフトなアタック、透明感と活力を与える酸味が、後半できめ細かな渋みと心地よい調和を作ります。タルタルステーキ、マグレカナールのロースト、ソーセージグリルを添えた牡蠣などシンプルかつ味わい深い料理とともに楽しめます。

「コンシスタント」を感じるワイン

2015ムートン・カデ・ルージュ/ バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド(フランス ボルドー)

¥1,600 (1,728 円 税込)

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