【徹底解剖】知ってるようで知らない!?「キャンティ・クラシコの魅力」

メイン画像、ワイングラスを持った様子

イタリアワインの顔と言っても過言ではない赤ワイン、キャンティ。中でも元来の歴史的地区を区分するために制定された呼称がキャンティ・クラシコです。日本でも人気の高いキャンティ・クラシコですが、「通常のキャンティとどう違うの?」「生産者や種類が多いので何を選べば良いか分からない」と思われる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、タイプの異なるキャンティ・クラシコ3銘柄を飲み比べて、知っているようで知らない!?キャンティ・クラシコの魅力を徹底解剖します。

僕たち3人が、飲みたいワインを徹底解剖!

白石さん白石
2015年入社。大学時代にブドウ栽培学・ワイン醸造学に触れ、ワインに興味を持つ。二子玉川店、池袋東武店に勤務後、通販事業部にて企画制作を担当。好きな生産者はコーニョやブラン・ガニャール。WSET LEVEL3、J.S.A.認定ワインエキスパート、利き酒師。

松永さん松永
2015年入社。学生時代にワインのもつ奥深さに興味を持つ。札幌円山店、札幌ステラプレイス店に勤務後、通販事業部を経て、現在は商品部のブランドマネージャーとして活躍中。好きな生産国はチリ、好きな生産者はモンテス。WSET LEVEL3、J.S.A.認定ソムリエ。第7回J.S.Aソムリエ・スカラシップ受賞。

井出さん井出
2016年入社。大学時代、フランス留学中にワインに興味を持つ。成城学園前店に勤務後、通販事業部で企画制作を担当。好きなワインはバローロとブルゴーニュ白。マイナー品種や自然派に特に詳しい。WSET LEVEL3、J.S.A.認定ワインエキスパート。

今回飲み比べるのはこの3本!

ワインボトル三本

いざ、テイスティングスタート!

白石 早速だけどみんな、キャンティってどんなイメージがある?

井出 一流レストランはもちろん、ファミレスやスーパーマーケットなど色々なところで見かけるから、ワインに詳しくなくても名前は聞いたことがあるっていう人は多いですよね。チャーミングで親しみやすくて料理にも合わせやすいっていうイメージです。

松永 僕の場合、最初に飲んだのが「キャンティ」ではなく「キャンティ・クラシコ」の方だったから、もともとチャーミングっていうよりは濃厚なイメージもあった。実際キャンティとキャンティ・クラシコって全然違うけど、それを知らない人もまだ多いと思う。

白石 ちょっと歴史を紐解いてみようか・・・。キャンティ地方はもともと、1716年にコジモ3世がキャンティに隣接するカルミニャーノ、ポミーノ、ヴァル・ダルノ・ディ・ソプラと共に土地の境界を定めて生まれた産地だけど、ブドウ栽培の歴史は1000年以上あって、13世紀には既に名声を確立していたそう。もともとはキャンティ・クラシコ地区で造られたワインがキャンティと呼ばれてたんだけど、あまりに人気が高く生産地区をどんどんと広げていった結果できたのが今の「キャンティ」なんだよね。それで「キャンティ」として売り出されるワインの品質が低下してきたことを懸念した造り手たちが「キャンティ」との違いを明確にして品質を保証するために「キャンティ・クラシコ」を作ったんだ。

井出 ただ、当初は収量の確保や若飲みのために白ブドウがブレンドされていたり、サンジョヴェーゼ100%も認めてられていなかったりと、現在とは異なる規制が多くあったんですよね。

松永 その厳しい規制に反発する形で生まれたのが、現在のいわゆる「スーパータスカン」って訳だね。国際品種がブレンドされていても、サンジョヴェーゼ100%であっても、造り手が自由に造りたいものを造れるという点で自由度が高かった。でも、キャンティ・クラシコにとっては品質の高いワインがスーパータスカンとしてリリースされるのはあまり良い状況とは言えないよね。

白石 そう。この状況を変えるためキャンティ・クラシコ協会が1980年代から始めたのが「キャンティ・クラシコ2000」というプロジェクト。クローンや畑の標高、土壌の分析を進めていき、同時に今までの規制を緩くした結果、キャンティ・クラシコの品質が高くなったんだ。

井出 優れた産地だからこそ伝統やしがらみがあり、長い歴史の中で紆余曲折を経て今の品質に辿り着いたんですね。2014年にはキャンティ・クラシコの上位カテゴリとなる「グラン・セレツィオーネ」も制定されましたし、今も昔も変わらず発展を続けているというのも凄いことですよね!

キャンティ・クラシコの歴史

出来事
1716年 トスカーナ大公コジモ3世がカルミニャーノ、キャンティ、ポミーノ、ヴァル・ダルノ・ディ・ソプラの境界を定める(世界最初の原産地保護の例)
1870前後 ベッティーノ・リカーゾリ男爵がキャンティワインのベースとなる品種構成、Formulae(サンジョヴェーゼ70%、カナイオーロ20%、マルヴァジア・デル・キャンティ10%)を定める
1924年 キャンティ・クラシコ協会設立
1963年 キャンティDOC認定
1984年 キャンティDOCG認定
1996年 キャンティ・クラシコが独立したDOCGに認定
2002年 外来品種の混醸が20%まで許可される
2006年 マルヴァージア、トレッビアーノなどの白葡萄のブレンドが禁止される
2014年 グラン・セレツィオーネ制定

白石 そんな歴史を考えながら、まずは最初の1本。サンジョヴェーゼと国際品種とのブレンドに定評のある「ぺポリ」を飲んでみよう!

歴史ある名門が手掛けるキャンティ・クラシコ

ぺポリ

松永 調和が取れていてすごく飲みやすいね。シラーとメルロといった国際品種がブレンドされているから、熟したラズベリーやチェリーのアロマにスパイシーなタッチが加わっている。

白石 もともとサンジョヴェーゼは酸が高くアグレッシヴなタンニンがある品種で、国際品種のブレンドや他の土着品種によってバランスが保たれ、国際的にも成功するようになったんだ。

井出 熟成にも伝統的なスラヴォニアンオークが使われていますね。そのオークに由来するバニラのような甘いタッチと柔らかく円いタンニンが、サンジョヴェーゼらしい酸味と絶妙にバランスを取っています。

松永 さすが14世紀からの歴史と伝統のあるトップワイナリー。現代人の嗜好に合わせて愛されるスタイルを追求しているとあって、モダンな仕上がりでスルスル飲めちゃうほど飲みやすい。まさに、イメージしている通りのキャンティ・クラシコだね。

白石 うん、キャンティは飲んだことあるけどキャンティ・クラシコはまだ飲んだことがないって人に是非飲んでもらいたい。キャンティ・クラシコを探している人にまずはオススメしたい1本だね。

井出 次はそんなぺポリとは対照的に、サンジョヴェーゼ100%で造られている「アルパ」を飲んでみましょう!

有名ブランドが手掛けるキャンティ・クラシコ

アルパ・キャンティ・クラシコ

松永 レッドチェリーやイチゴなどの華やかな赤系果実のアロマ。革や土といった複雑なニュアンスも程良く感じられて、味わいはしなやかでエレガント。タンニンの抽出がとても綺麗だね。

白石 一昔前まではぺポリのようにメルロなどの国際品種やカナイオーロやコロリーノなどの土着品種がブレンドされたワインが多かったみたいだけど、ここ最近研究の成果で素晴らしい品質のクローンが選抜されるようになって、国際品種や他の土着品種をブレンドする必要がなくなってきているそう。

井出 毎年2月にトスカーナで開催される大規模なイベント「アンテプリマ・ディ・トスカーナ」でも、キャンティ・クラシコの試飲会には年々サンジョヴェーゼ100%のキュヴェが増えているそうですね。確かにサンジョヴェーゼの持つピュアさ、繊細さ、綺麗な酸といったポジティブな個性が上手く出ています。

松永 加えてアルパは、あのサルヴァトーレ・フェラガモが手掛けているキャンティ・クラシコだからか、味わいもどこかスタイリッシュな感じがあるね。

ワインをたしなむ様子

井出 ぺポリのバランスが取れているモダンな味わいに対して、アルパはサンジョヴェーゼの品種由来の綺麗な酸が際立っていて、全体として繊細でエレガントな印象ですよね。

白石 飲み比べてみると生産者のスタイルの違いが良くわかるなぁ。同じキャンティ・クラシコでもこうも味わいが違うんだね。

松永 最後は、同じサンジョヴェーゼ100%でも熟成したカパンネッレのキャンティ・クラシコ・リゼルヴァを飲んでみよう!

小規模ブティックワイナリーが手掛けるキャンティ・クラシコ

カパンネッレ・キャンティ・クラシコ

※2013年ヴィンテージより、ラベルが変更になっております。

井出 香りが圧倒的に複雑ですね。同じ赤系果実でも熟したラズベリーや乾燥イチジクに、革や森の下草といった熟成香が華やかに香ってきます。酸とタンニンが綺麗に溶け込んでいて、じんわりと広がる良質な旨味と余韻に感じられるミネラル感が非常に心地良いですね。

白石 キャンティ・クラシコのリゼルヴァは通常のキャンティ・クラシコの2倍以上の熟成期間が定められている。チャーミングな味わいのキャンティもいいけど、こういった複雑な味わいのリゼルヴァを飲めば、キャンティ全体に対する印象も変わってきそうだよね。

格付け 使用できるブドウ品種 最低熟成期間
D.O.C.G キャンティ サンジョヴェーゼ(最低75%以上)
カナイオーロ、トレビアーノ、マルヴァージア、その他黒ブドウ
4ヶ月
D.O.C.G キャンティ・クラシコ サンジョヴェーゼ(最低80%以上)、その他黒ブドウ 11ヶ月
リゼルヴァ:24ヶ月(うち瓶内 3ヶ月)
D.O.C.Gキャンティ・クラシコ グラン・セレツィオーネ サンジョヴェーゼ(最低80%以上)、その他黒ブドウ
※全て自社畑に限る
30ヶ月(うち瓶内 3ヶ月

松永 加えてこのカパンネッレは他の二つと比べて高標高で造られているから、酸もしっかりとあってエレガント。このエレガンスに熟成由来の複雑感が加わってまさに今飲み頃!って感じだね。サンジョヴェーゼの熟成ポテンシャルが良く表現されていると思う。

井出 熟成感は出るけど、重たくはならずに軽やかさが残るのがサンジョヴェーゼの魅力なんですね。造り手の個性を愉しめて、熟成させても美味しい!3本を飲み比べてみると、キャンティ・クラシコが愛されている理由がよくわかりました。普段の食卓で愉しむなら、僕はやっぱり王道のイタリアンに合わせて愉しみたいところですね。

松永 そうだね。今回合わせたマルゲリータやトマトパスタなんかのトマトを使った料理とは酸味の相性が抜群だし、生ハムや煮込んだ牛肉料理なんかには、優しいタンニンが包み込んでくれる。幅広い食事と合わせられるフードフレンドリーさが素晴らしい!

白石 「今夜はイタリアン」っていう日には、是非キャンティ・クラシコを選びたいよね!

ワインとピザ

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