CEO サルヴァトーレ・フェラガモ氏にインタビュー!トスカーナの注目ワイン「イル・ボッロ」

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公開日 : 2018.9.28
更新日 : 2022.5.19
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広尾店前にてフェラガモ氏

イル・ボッロとは、イタリア・トスカーナ州のキャンティ・クラシコ地区近くにある中世の佇まいを残す村の名前。

今から25年前の1993年にイタリアの老舗ブランド、サルヴァトーレ フェラガモの現会長、フェルッチオ・フェラガモ氏がこの村と周囲の広大な敷地を丸ごと購入し、トスカーナの生活が楽しめる田園リゾートとして復活させたのがはじまりです。

13世紀からワイン造りが行われていたことからこの土地を買い上げた、というほどワイン造りはイル・ボッロ事業の中心に位置づけられており、現在はフェルッチオ氏の長男である3代目サルヴァトーレ・フェラガモ氏がCEO(最高責任者)としてワイン造りに情熱を傾けています。今回、プロモーションのために来日したサルヴァトーレ氏にお話を伺いました。

目次

全てのワインをオーガニックに転換

イルボッロ

2,000エーカー(810ha、東京ドーム約172個分)以上という広大な敷地をもつイル・ボッロ

かねてよりオーガニック栽培に取り組んできたイル・ボッロですが、2015年ヴィンテージより、全てのラインナップがオーガニックワインとなるそうです。

サルヴァトーレ氏にオーガニックに力を入れる理由を尋ねたところ、こんな答えが返ってきました。

フェラガモ氏

「オーガニック栽培に取り組んでいるのは、最終的に高品質なワインを造りたいというのが一番の理由です。

もちろん、農薬や化学薬品を使用することで病害を防ぐことはできますが、結局は農薬を使った分だけ土壌やブドウから生み出されるワインに影響が必ず出てきます。そういった薬品に頼ることなく高品質なワインを造ることこそ、私たちの世代に求められていることです。

今よいワインを造るのではなく、長い目で見て高品質なワインをずっと造りつづけられる仕組みや環境作りに一番こだわっています。」

何代も続く老舗ファミリー企業だからこそ、次世代に残す土地やワインの品質を長期的な視点でとらえる。そのシンプルで力強い哲学がサルヴァトーレさんの真剣な眼差しから伝わってきます。

収穫は一家総出で!

サルヴァトーレ・フェラガモ氏とフェルッチオ・フェラガモ氏

9月21日にアップされた今年の収穫の様子。サルヴァトーレ・フェラガモ氏(左)とフェルッチオ・フェラガモ氏(右) / イル・ボッロのface bookより

イル・ボッロのCEO(最高責任者)という肩書をもつサルヴァトーレ・フェラガモ氏。実際には普段どのようなお仕事をされているのかを伺ってみました。

「もちろん収穫もやっていますよ!私だけではなく、父(フェルッチオ・フェラガモ氏)も、妹も来て、一家総出で収穫や集荷にあたって、選果もしています。

また、CEOとしては、ワインメイキングに深く関わっています。ワインメーカーやコンサルタントとワインを試飲して、どういうセパージュにするのかなど、チームで決めています。

それに加えて、ワイナリーの醸造設備などのインフラをどのように整備するのかについて最終的なジャッジを下すというのも重要な仕事です。

最近の例では、フランス、タランソー社の最高級バリック「T5」を導入しました。他のバリックとどう違うかというと、普通のバリックは火であぶって樽をトーストすることでその香りがワインに出るのですが、このT5は木の樽を直接炙るのではなく、炭の熱の余熱でじっくりと曲げて樽にしています。作るのには時間がかかるのですが、ワインの香りはよりエレガントに、そしてスモーキ―なニュアンスも現れるようになりました。フラッグシップであるイル・ボッロには、このT5が2014年ヴィンテージから使用されています。

他には光学選果台の導入もそうですが、ワインの品質を上げるために絶えず投資を行っており、その最終的な決断を行うのが私の仕事です。」

ワインは自分の子供のようなもの

最後にフェラガモさんに最近お気に入りのワインと料理の組み合わせを教えてくださいとお願いしてみました。

「全て自分の子供のようだから、どれがお気に入りかと言われると難しいですね。う~ん・・・(しばし考える)やっぱり一つに選べません(笑)。

あえて挙げるなら最近リリースしたペトルーナですね。同じサンジョヴェーゼで造ったワインでポリッセナがありますが、違いとしてはペトルーナの方が昔ながらのやり方で造っていて、アンフォラ(赤土で作った素焼きの壺)で熟成をさせています。一方でポリッセナはバリックで熟成させています。

アンフォラで熟成させると、バリックからのニュアンスが出ない分、果実のピュアさ、サンジョヴェーゼが本来もっている果実味が表現されたワインが出来ます。このペトルーナに合わせるのであれば、トロやサーモンのお寿司がおすすめです。

それともう一つ、フラッグシップであるイル・ボッロは、メルロとカベルネ中心のブレンドで、もう少しタンニンがしっかりとしているワインです。

料理とのペアリングを考える時に何を基準にしているかというと「タンニンの量」です。タンニンの量が増えると、それに合うくらいの脂分だったり、力強さが必要になるので、それに合わせて料理を選んでいます。ですので、ペルトーナよりもタンニンがしっかりとしていてフルボディのイル・ボッロであれば、鉄板焼き、ステーキ、しゃぶしゃぶだったり、もう少しオイリーで脂肪分があって、食べごたえ、噛みごたえがある料理がよく合うと思います。」

伝統と革新が融合したワイン造り

ワインボトルを持つフェラガモ氏

フェラガモ家が中世の村、イル・ボッロを購入した際には、荒廃した建物を数年もかけて当時の調度品や資材を集めながら、限りなくその時代に近い状態までリフォームしたそうです。そしてワインにおけるオーガニック栽培も、農薬がなかった頃の自然なワイン造りに近づけつつ、ブドウ畑を次世代につなげるという試みの一つ。一方で、ワイン造りには光学選果台など最新鋭のインフラを整えています。

こうして長期的な視点をもって伝統と革新を取り入れる手腕は、何世代にも続くファミリーの哲学を幼少から叩き込まれたサルヴァトーレ・フェラガモ氏にしかできない決断でしょう。

サルヴァトーレ氏によると、イル・ボッロでは今後ビオディナミの新作ワインもリリース予定とのこと。次々と新しい試みを続ける同氏の活躍からはますます目が離せません!

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