生産者インタビュー!Lou Dumont(ルー・デュモン)仲田晃司さん

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公開日 : 2018.1.31
更新日 : 2023.7.12
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2018年1月NHK総合「プロフェッショナル 仕事の流儀」で放映され、一躍時の人となった日本人ワイン醸造家 仲田晃司さんが来日し、エノテカ・オンラインにお越し頂きました!

今回の来日は放映直後だったということもあり、駅の売店やコンビニなど街中で声をかけられて驚いたそうです。ミーハーな私は早速、テレビで大きく取り上げられていたワイン「マルサネ」について聞いてみました!

目次

マルサネの造り方

仲田晃司さん

-テレビでは樽内発酵中の宝石のように美しいピノ・ノワールを、ハンドピジャージュしているところが映されていましたが、全房発酵なのですか?-

仲田さん:うちのワインの中でもしっかりとしたタイプのマルサネ、コルトン、ラドワは果実味を出すために100%除梗しています。それ以外のキュヴェは30-65%ほど全房を使っています。樽内発酵しているキュヴェは量の少ないものだけで、まとまった量のあるものはタンクで発酵させています。

通常ワイン造りで樽熟成するメリットは2つ。

「生まれたてワインの角をとり飲みやすくすること」と、オーク樽の香りをワインに移し、「より複雑な香りにすること」です。しかし、デメリットとしてオークの香り(ヴァニラと同じヴァニリンという成分等)は強すぎると、果実本来の香りを覆い隠してしまいます。

プロの流儀

果実本来の香りを隠さないために、仲田さんはオーク樽の原料、オーク樽の焼き方、樽内アルコール発酵の3つにこだわっているとお話ししていました。少しテクニカルな話なので解説いたします。

ブドウが入ったオーク樽

・樽内アルコール発酵の採用

手間がかかるため、一般的には高級白ワイン造りに使われることの多い醸造テクニックです。オーク樽の中で果汁を発酵させることで、酵母がオークの甘い香り成分を分解し、発酵済みのワインをオーク樽に入れて熟成するよりも、オークの香りと果実本来の香りが一体化します。

・オーク樽の原料

一言にオークといってもワイン醸造に使われているオークの種類は、フレンチ・オーク、アメリカン・オーク、ヨーロピアン・オークなどに分類されます。中でもとりわけ高級なフレンチ・オークですが、オークもブドウと同じ植物産地による違いがあり、さらに細分化されているのです。

そんな中で仲田さんがこだわるのはフランス・ジュピーユの森で採れた高樹齢のオークの木。ジュピーユ産オークは成長が遅く樹齢も高い為、年輪による木目が細かくなり、成分の抽出も穏やかになるからです。

・オーク樽の焼き方

樽を造る際に必ず必要なのが、オーク板を曲げるために直火で加熱する作業。実はこの作業、完成したオーク樽の香りに強い影響を与えます。

レアやミディアムといったステーキのような名称の焼き方は様々。焼き方によっては、甘い香りが強い仕上がりや、スパイシーな香りに仕上がったりするのです。仲田さんが樽製造業者に発注する際には、オークの香りが出来るだけでないような焼き方を指定しています。

ルー・デュモンでは少しでもワインを柔らかくするため、ブルゴーニュとしては比較的長い18ヶ月という樽熟成期間とっています。

一方で長期樽熟成による過剰なオーク風味の抽出を避け、ピュアな果実の香りを表現するために、このような徹底したこだわりを持っているのです。

栽培に対するこだわり

さらにオーガニック栽培についても聞いてみました。

ブドウの樹

オーガニック栽培

仲田さんのこだわりは栽培面にも及びます。一部の有名生産者ですら、クロロシスを防ぎ、ブドウの凝縮感を高めるために畑に鉄分を撒いたりしますが、仲田さんのこだわりは有機栽培。買いブドウを使ったキュヴェも多いルー・デュモンですが、自社畑はオーガニック認証を得ており、完全な有機栽培を徹底しています。

このオーガニック認証は取得も大変ですが、維持も大変だそうです。畑にまく肥料などは有機認証のあるものしか許可されておらず、撒いたものは証拠として伝票を保管しておかなければいけないという徹底ぶり。うっかり間違ったものを買ってしまわないか気を付けているそうです。この苦労があるからこそ、ワインにミネラリティが生まれるわけですね。

今後の展望

最後に、気になるルー・デュモンの今後の展望を教えていただきました。

お話をする仲田さん

-2000年にドメーヌを創業して以来、どんどん畑を拡大しているルー・デュモンですが、今後リリース予定のキュヴェを教えてください。-

仲田さん:マルサネ・ロゼ、コトー・ブルギニョン・シャルドネ、マルサネ・デセール、ジュヴレ・シャンベルタン・オー・コルヴェ(テレビでテニス大会優勝者と借地契約していた畑!)などが今後ドメーヌのポートフォリオに追加予定です。

-もし叶うのならば、どの畑のワインを造りたいですか?憧れの畑は?-

仲田さん:テロワールを理解したいので、機会があるのならどんな畑でも造りたいと思っています。憧れの畑はミュジニーやシャンベルタンですね。しかし、今の時代、畑の入手はとっても難しいし高価です。数年前に行われたルロワのバタール・モンラッシェ購入は1haあたり約24億円という価格で取引されていました。

24億円…、私では一生かかっても稼げそうもない額だなと、オフィスの天井を仰ぎました。それでいて近年は霜や雹害で収穫量が減っているのですから、ブルゴーニュワインの高値も納得できますね。

まとめ

仲田さんは優しく控えめだけれど、ワインに情熱的で芯のあるとっても魅力的なお人柄でした。 いつかドメーヌ・ルー・デュモンのミュジニーが飲める日がくるようにエノテカ・オンラインスタッフ一同待ち望んでいます。

仲田さんとスタッフ達
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