エノテカスタッフに、愛飲するワインとの出会いや思いを語ってもらう「スタッフ愛飲」。
今回は池袋東武店で店長を務める岡庭さんに、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ / ポッジョ・ディ・ソット」について訊きました。
初めて飲んだとき、あまりの美味しさに衝撃を受けたというこのワインの魅力をたっぷりと語ってくれました。
長年憧れ続けた1本
―今回ご紹介いただくワインとの出会いについて教えてください。
出会いは2011年、エノテカに入社して間もない頃です。
当時はワインに全く関係のない業種から転職してきたばかりで、右も左もわからない状態でした。
とにかく取り扱いのワインを覚えようと、まずは先輩におすすめの生産者を訊いてみたんです。そこで教えてもらったのが、このポッジョ・ディ・ソットでした。
すぐにでも飲んでみたかったのですが、フラッグシップキュヴェであるブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(以下ブルネッロ)は、気軽に購入できる価格ではなくて……。しばらくは、飲んでみたいなぁと店頭で眺めるだけでした。
そんな中、ソットのロッソ・ディ・モンタルチーノ(以下ロッソ)(※)を飲む機会があったんです。
飲んでみると初心者の自分でもわかるくらい美味しくて。ロッソでこんなに美味しいなら、ブルネッロは一体どんな味わいなんだろうと、このワインへの憧れが益々強くなっていきました。
それから4年後、初めて店長に昇格したときに、自分へのご褒美として購入したんです。
※ロッソ・ディ・モンタルチーノはブルネッロ・ディ・モンタルチーノの弟分的存在。熟成期間がブルネッロは最低5年熟成(うち24ヵ月は木樽熟成)に対し、ロッソは最低1年以上(うち6ヵ月は木樽熟成)と短い。
―念願のワインを手に入れたのですね!
はい。しかし、いざ手に入れたものの、せっかくならきちんと熟成させてから飲みたいと思い、しばらくはワインセラーで寝かせていました。
結局飲んだのは購入から5年後の2020年。一昨年ですね。満を持して抜栓しました!
凝縮感と透明感が共存する味わいに感動
―先輩からおすすめされて9年。念願だったワインをどんなシチュエーションで飲まれたのでしょうか。
結婚記念日に開けました。結婚してすぐに妻が妊娠したので、その日は妻がお酒を飲める状態で迎えた初めての結婚記念日だったんです。
もう少し熟成させた方が良いかなと悩んだのですが、妻も飲むのを楽しみにしていたワインだったので、思い切って開けてみることにしたんです。
―いざ、飲んでみていかがでしたか。
こんなに美味しいワインがあるのか!すごい!と感動しました。デキャンタからグラスに注いだ時の香りだけで、ワインの凄みというか、存在感を感じました。
ロッソを飲んだときも、もちろん美味しいなと思いましたが、ブルネッロは香りの華やかさや旨み、凝縮感などがとにかく圧倒的で、あまりの美味しさに打ちのめされました。
-なるほど。特に印象的だったのはどんなところですか。
味わいのバランスですね。凝縮感が強いのに、透明感も感じられたんです。
凝縮感と透明感って、一見相反するものに感じてしまうのですが、このワインには両者がきちんと共存していて。それがこのワインの美しさや圧倒的な存在感に繋がっているのではと思います。
ピノ・ノワール用のボウルの大きなグラスで飲んだのですが、それもワインの香りや味わいをうまく引き立ててくれたと思います。
このワインを飲んだときを超える感動体験っていうのは、数えるほどしかないですね。
―素晴らしい体験だったんですね。
はい。この感動が忘れられず、今も新ヴィンテージがリリースされるたびに購入しています。
ここ数年で他の生産者のブルネッロもいくつか飲みましたが、ソットのワインを飲んだとき以上の感動は得られていなくて。やっぱり僕にとってソットのブルネッロは特別なんだなと思います。
このワインをおすすめしてくれた先輩に感謝したいですね。
ワインのルーティンで風情を感じる
―新ヴィンテージがリリースされるたびに購入しているということですが、今後はどのように楽しみたいですか。
僕は生活の中でルーティンを大事にしているのですが、実はワインにおいても1年間の中でルーティンがあるんです。例えば年始は必ずシャルドネのスパークリング、年末はシャルドネのワインを飲むといった感じです。
四季のある日本で育ったからなのか、こういうルーティンがあると、なんだか風情を感じられる気がするんですよね。
なので、これからも結婚記念日はきっとこのブルネッロを飲むと思います。
そして、あの年の記念日はこんな日だったな、ワインはこんな味わいだったなと、その時々の印象や味わいの違いを楽しみたいと思っています。
憧れのワインを飲んだときの感動を、熱く語ってくれた岡庭さん。今年の結婚記念日は2010年ヴィンテージを飲む予定だと教えてくれました。
毎年同じ銘柄を飲むことで、ワイン自体の変化に加えて、自分自身の変化にも気づくことができるかもしれませんね。
ワインはときに忘れられない感動体験を与えてくれるものだと、改めて実感したインタビューとなりました。