エノテカスタッフに、愛飲するワインとの出会いや思いを語ってもらう「スタッフ愛飲」。
今回はエスプリ・ド・タイユヴァンで店長を務める黒川さんに語ってもらいました。
エノテカで取り扱うワインとは異なり、パリのレストラン「タイユヴァン」がセレクトしたワインがそろうエスプリ・ド・タイユヴァン。
そんなコレクション・タイユヴァンから愛飲する白ワイン「ヴーヴレ」を紹介してもらいました。
どんな主演女優にも寄り添う
※こちらのワインはエノテカ各店での取り扱いはございません。
―今回紹介していただくワインとの出会いを教えてください。
初めて飲んだのは、バーメニューとしてグラスワインに出していた時です。何気ない業務中にテイスティングしたということもあり、正直に言うと印象はあまり残っていません。
このワインの本当の姿を知ったのは、その後新しいペアリングメニューの試作をするときでした。
「ホッキ貝のマリネ レモンの風味、ベルモットのジュレとともに」という料理とこのヴーヴレを合わせた時に「なにこれ!!すごく引き立て合っている!!」と、ベストマッチな料理と合わせることで力を発揮するワインなのだと感動しました。
クセがないと言うと凡庸に聞こえてしまうのですが、懐が深く、どんな料理とも合わせられるのがこのワインの凄いところだと思います。
―これまで飲んできたワインとの違いは感じましたか?
このヴーヴレは飲んだ時に何かが食べたくなる、食べたいものが浮かんでくるワインだと思います。こう思ったのは、ワインを飲んできて初めてかもしれません。
このヴーヴレは綺麗な酸が特徴的で輪郭もはっきりしていてバシッとはしているのですが、ワインだけが主張してくる感じではないんです。名脇役のように良い仕事をしてくれます。
どんな主演女優とも合わせられる、言うならば「助演男優賞」をあげたい1本ですね。
間違いない1本
―どんな料理とも合わせられるとのことですが、黒川さんのおすすめのペアリングは何ですか?
全然料理をしないことがバレてしまうかと思うのですが……漬物です。
漬物とすごく相性が良いです!ぬか漬けでも浅漬けでも、すごくよく合います。
発酵食品の独特なまろやかさや発酵することによって出る酸と、ヴーヴレの上質な酸はとげとげしさがないのでやさしく包み込む感じになります。
これはもう本当に…エンドレスにポリポリと食べて、飲んでしまう組み合わせですね。
―簡単なおつまみにも合うといつでも選びやすい1本ですね。
そうなんです。タイユヴァンのコンセプトである“食とワインの調和”。そう聞くと手間をかけたお料理との組み合わせと考えがちですが、そんなことないです。
私がこのヴーヴレを愛飲する理由もそこにあって、迷ったら選ぶことの多い1本です。
毎日自宅でワインを飲むのですが、食べたいものが決まってないときはいつも選びます。これを買っておけば間違いない!という絶対的な信頼を置いているワインでもありますね。
食とワインの調和を理解
―タイユヴァンのコンセプトである“食とワインの調和”、 タイユヴァンのワインを飲むことで理解できるということですが。
マリアージュやペアリングといった言葉は分かってはいましたし、ワインを勉強するようになって10年以上経ちますが、タイユヴァンのワインを飲んでそれが初めてきちんと分かったような気がします。
タイユヴァンセレクトのワインは、ワインだけだと言い方は悪いかもしれませんが、どこか物足りなさもあります。ですが、これが何か食事と合わせた時にすごく感動するペアリングが生まれるのです。
“ペアリング”と言うと簡単なのですが、それがもっと洗練された世界観なのだなというのがやっと分かってきました。
また、タイユヴァンがセレクトしたワインは、ほとんどがフランスワインなのですが、そのフランスを深掘りしています。すごくニッチな産地であったり、小さな家族経営のドメーヌだったりと、今まで出会ったことのないワインばかりでした。
例えば、ロワールのワイン一つとっても、ソムリエ教本でしか見たことがなかった地域のワインが実際にあって、それが一人のワインラヴァ―として感動的でしたね。
「このワインを売らなきゃいけない」という気持ちではなく、タイユヴァンのワインは好奇心をそそられる面白いワインがたくさんあります。
こうやって今でも新しい発見や気付きを与えてくれるのがタイユヴァンのワインで、極めていけばワイン売りとしてワンランク上に行けるような気がします。
常にお客様の食生活に合わせてワインを提案しているという黒川さん。
エスプリ・ド・タイユヴァンではワインの販売のほか、店内でもパリのタイユヴァンが監修したメニューとワインとのペアリングをお楽しみいただけます。
黒川さんも「タイユヴァンのワインを飲んで初めて本当のペアリングを実感した」と言っていたように皆さんも“食とワインの調和”を体感してみてくださいね。
※現在、終日酒類の提供はございません。