秋山 凜子(Rinko Akiyama)
ワインショップ・エノテカ ウィング高輪店 勤務
JSA認定ワインエキスパート
ワインを好きになったきっかけ:学生時代、アルバイトでワインの販売に携わったこと。入り口はドイツのピノ・ノワールでした。趣味:おうち時間にウクレレを始めました。まだまだ初心者で練習中です。好きなワイン:パープル・エンジェル / モンテス。
私の中で印象深い父との記憶に、2人で「仕事」について話したことがあります。
きっかけは、私が仕事のことで悩みを抱えて行き詰まっていた時。行き詰まった私は、社会人の先輩である父に相談をしました。
私が悩みを打ち明けると、次第に父も社会人として未だ尚困難があること、そしてその困難とどう向き合っているのかを話してくれました。
私の前で、不安を口にする父を見たのはそれが初めて。それまでは「強い父親」として私の目に映っていた父の初めて見る側面でした。
父に近づけた気がして、自分が大人になったことを強く感じた出来事のひとつです。
そんな瞬間も、傍らにあったのはワインです。
普段は中々話す機会のない深い話題について語る時、ワインは不思議とその場の雰囲気を柔らかく解いてくれます。
そんな私が選ぶ、父の日に贈りたいワインは、アンティノリのグアド・アル・タッソです。
時間が経つにつれ、味わいに複雑さと奥行きが増すこのワインは、ゆっくり語らいながら飲むのにぴったり!
抜栓したては、黒系果実の華やかなアロマに加えて、なめし革やスパイスの香りとキュッとしまった酸が印象的です。そこから1時間2時間経つと、ワインが空気に触れることで、複雑なアロマの要素がさらに調和し、シルキーでなめらかな味わいに変化していくのを楽しむことができます。
時間をかけて印象の変貌を楽しむこのワインと一緒に、また深い話ができたらと思います。
「私たち、これからもっと仲良し親子になれるはず」。
そんな風に思える光景の中にワインがあることを幸せに感じながら、家族とともに飲みたい1本です。