プロのソムリエさんが自宅でワインを楽しむコツやプロのテクニックを紹介するコラム。

第7回目は「SUGALABO V」のソムリエ、谷川さんです。

すぐに真似できちゃうソムリエならではの楽しみ方は必見です！どうぞお見逃しなく。

こんにちは。大阪のSUGALABO Vでワインディレクターを務める自称「ロゼアンバサダー」の谷川です。

今回はこの時期に欠かせない、いや実は通年通して大活躍のロゼワインの本当の楽しみ方をご紹介しちゃいます。

世界では一大ブームとなっているロゼワイン、日本では季節が限定されているイメージですが、それではもったいないですよ！ロゼに対する先入観は今日で忘れましょう。

ここだけの話をシンプルに詰め込みますので、ご家庭で飲む際に実践してください！

ロゼワインというと皆様が思い浮かべるのは、青い海と空、クルーズ船、そう地中海のプロヴァンスロゼのイメージではないでしょうか？

それこそアイスバケツに大量の氷、そこにロゼのボトルがキンキンに冷やされている。これでは夏のワインというイメージがついてしまうのも頷けます。もしくは日本特有のピンクの色合わせで桜の季節。

こういった地中海のバカンスにおけるワインや日本ならではの季節を愛でる楽しみ方は確かにありです。

しかしここに、日本でなかなか大きなムーブメントにならない理由があるのです。食中酒やお食事とのペアリングを考えると一転、その飲み方が全て正しいとは限りません。

実はロゼの特性（特にプロヴァンスのロゼ）は多様な香りを少しずつ持つため繊細なのです。それゆえに冷やし過ぎてしまうと香りの揮発力が抑制され、より香りが感じ取りにくくなります。

これは経験則ですが多くの場合、女性は香りを集合体として捉え、「いい香りね」と仰っていただける方の比率が高いのに対して、男性はどうしても頭で理解されようとする方が多く、何の香りかハッキリしないといい香りという判断をしていいただけないようです。

推測ですが様々な香りに触れる機会が多いか少ないかの経験や環境が少なからず関係していると思います。

男性はまずはアメリカやイタリアの色が濃いロゼからトライしてロゼに親しんでみてください。

話を戻して温度についてですが、冷やすとロゼが持つ酸や苦味に味わいのバランスが傾き、ちょっと素っ気ない印象に。

そんな子を振り向かせるには少し高めの温度、10～12℃でグラスに注ぎましょう。振り向いて手を振ってくれます。

口中へのエントリーからまろやかさを感じ、冷えているときは素っ気なさを感じさせていた酸や苦味が程よい締まった質感を余韻に与えてくれます。

ロゼの特徴は白ワインのような軽快さを持ちながらも、赤ワインが多く持つフェノール由来の成分を程よく持っているというところ。今回はその代表格、プロヴァンスロゼをお家で楽しむペアリングを考えていきます。

まずはイワシの塩焼きにアンチョビ、フレッシュバジル、ドライトマトを添えて。お魚を焼いた際にフェノール系化合物が生成されるのですが、その香りと同調率の高い香りをロゼは持っています。そこにプロヴァンスを感じる食材を合わせることで、その土地の風景に思いを馳せることができる組み合わせです。

お次はサフランチキンライス！これは実体験としてプロヴァンスロゼにサフランのフレーバーをよく感じていたので、合わせたところ非常にうまくいった組み合わせです。

元々サフランはブイヤベースなど地中海料理には欠かせない素材。こういった産地的な繋がりの組み合わせは伝統的に連綿と紡がれてきた経験則によって生まれる最上のペアリングの代表例と言えるでしょう。

飲み方としてはまずは冷蔵庫で冷やした状態でアペリティフとして、小ぶりのグラスで。そこから徐々に温度を上げ、今回ご紹介したお料理と合わせる際は10～12℃を目安に大振りのブルゴーニュグラスで楽しんでみてください。

ロゼワインの新しい取り扱い説明書はいかがでしたでしょうか？

その愛らしいカラーとは裏腹に様々な側面を持つロゼ。

温度やグラスの形状を変えてあなただけの楽しみ方を見つけてください。これであなたも憧れの？ロゼマスター！