運ばれてきたiPodで、波の音を聞きながら食べる料理をご存知でしょうか？イギリスの3つ星レストラン、ファット・ダックの「波の音」という料理です。

“料理は五感で楽しむもの”とはよく言いますが、料理と味覚や嗅覚、視覚、触覚の関係はわかっても、聴覚と聞いて、直観的に理解できる人は少ないかもしれません。

たまには料理とワインの相性だけでなく、音楽とワインの相性も考えてみませんか？

まず気になることは、本当に音が味わいに影響するのか？ということですが、答えは「YES」です。近年の様々な研究で、味の感じ方は音によって大きな影響を受けることがわかっています。

そして、いくつかの有名なワイン生産者もこの関係に高い関心を示しています。

シャンパーニュの帝王「クリュッグ」も、そんな生産者の一つ。クリュッグのサイトでは、自分たちのワインに合うと考えているミュージシャンと音楽を紹介しています。

幸運にもクリュッグを飲む機会に恵まれた際には、ぜひ彼らが提案する音楽を聞きながら楽しんでみてください。

このクリュッグが支持しているのが、オックスフォード大学の心理学者チャールズ・スペンス氏の研究。チャールズ・スペンス氏は、聴覚や視覚などの多感覚が味わいにどう影響を及ぼしているかについて研究している第一人者です。

上述のチャールズ・スペンス氏の研究^[1]によると、音楽とワインの相性が良いと感じるには一定の規則性があるようです。一部をご紹介しますので、ご自宅でワインと音楽を合わせる参考にしてみましょう。

52種類の音（4楽器×13音程）を再生して、それぞれの音といくつかの香りの最適な組み合わせを見つける実験を行った結果、多くの香りに関して被験者が合うと感じた音が一貫性を示しています。

例えば、アプリコットやラズベリーなどの果実の香りは全て、金管楽器や弦楽器ではなくピアノや木管楽器、高い音と。対照的にスパイスやスモーキーなアロマは、高音ではなく低音、金管楽器と合うと感じられるそうです。

ワインの5味（甘味、酸味、苦味、塩味、旨味）と特定の音楽を合わせた実験でも、一定の傾向が見られます。

甘味は高い音やピアノの音、スタッカートのような短い音の繋がりに表情をつけた演奏と。一方で、酸味は非常に高い音や速いテンポ、そして不協和音のハーモニーと合うと感じられ、苦味は音程が低く、金管楽器との相性が良いようです。

しかし残念ながら、塩味や旨味と特定の音楽が合うといった意見は稀だったようです。

実はチリワインの先駆者モンテスも、クリュッグと同じように音楽とワインの関係性に関心の高いワインメーカーです。

モンテスは熟成中のワインに聖歌を聞かせる音響熟成をしていることで知られていますが、イギリスのヘリオット・ワット大学と協力して行った実験によって、音楽が直接的にワインの味を変えることも証明しています。

この研究結果によると、モンテス・アルファ・カベルネ・ソーヴィニヨンは力強いオーケストラのような音楽を聞きながら飲むと、音楽なしの場合よりも芳醇で骨格のしっかりとした味わいに。モンテス・アルファ・シャルドネは、ポップミュージックを聞きながら飲むと、よりコクとフレッシュさが感じられるそうです。何となくイメージがつかめそうな気がしますよね。

この実験によって、彼らはモンテス・アルファシリーズのワインをさらに美味しく飲むための音楽も特定しています。以下が、モンテスの推奨する具体的な音楽とワインの組み合わせです。

音楽とワインというと、クラシックやオーケストラのような少し取っつき難い音楽をイメージするかもしれません。ですが実際には、モンテスが示すようにロックやポップミュージックでも、ワインの味わいに影響を与えて美味しくすることができるようです。

料理とワインの組み合わせばかり気にせずに、たまには音楽とワインの組み合わせも気軽に楽しんでみてくださいね。