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クリスチャン・ムエックス氏、アウレリオ・モンテス氏、ロバート・モンダヴィ氏、モエ・エ・シャンドンなど・・・。
挙げればキリがないほど、カリフォルニア、特にナパ・ヴァレーには野心や向上心を抱いた一流のワインメーカーが続々と集まってきます。それは、なによりも造り手が惚れこむテロワールがあってのこと。
比較的温暖で乾燥した気候、谷川の起伏に富んだ地形、多彩な可能性に満ちています。
そして、アメリカという国が進取の気性に富んでおり、フランス、イタリアといった伝統国よりも積極的に新ワイナリーを受け入れる受け皿となっていることで、生産者たちは果敢に新たなワイン造りに挑戦できるのです。

ナパ・エンジェル / アウレリオ・モンテス氏
いまとなってはその品質を認められ、世界のレストランやホテルでもサービスされ、幅広く楽しまれるチリワイン。そのチリワインの信用を造り上げた立役者が、アウレリオ・モンテス氏です。
ボルドーや世界各地でワイン造りを経験してきた優秀なワインメーカーであった彼はチリの地「モンテス」の設立し、一からワイン造りを開始。現在も大人気商品である「アルファシリーズ」をはじめ、チリで始めてのプレミアムワインをリリース、その品質が世界を驚かせました。
そんな彼の念願が、北半球カリフォルニアで最高のカベルネ・ソーヴィニヨンを造り上げること。2006年を初ヴィンテージとしてナパ・エンジェルを発表しました。常に情熱を持って斬新な発想のメイキングを行う彼が、ナパへ進出するというニュースはワイン業界でも大きな話題になり、スペクテーター誌などでも大きく取上げられました。


ドミナス / クリスチャン・ムエックス氏
言わずと知れたボルドー右岸に君臨する、世界最高のメルロを仕立てる醸造家クリスチャン・ムエックス氏もナパ・ヴァレーに進出した有名人のひとりです。 かつてカリフォルニアでワイン造りを学んだ経験を持つ彼がナパへ戻ってきたのも必然なのかもしれません。
そして彼自ら自社畑で大切に育てたカベルネというのがまた非常に興味深いものでした。メルロの樹も実験的に植えられたそうですが、やはりテロワールの相性が難しく現在は栽培されていません。
また、彼の造る右岸ワインはペトリュス、トロタノワ、オザンナ、ラ・フルール・ペトリュスと高級ワインのそうそうたる顔ぶれですが、ナパでは3000円台から買えるキュヴェも生産されているのがうれしいポイント。ドミナスエステートのナパ・ヌック、その近隣の畑のオテロはすぐに試したい要チェックアイテムです。

糖度を抑えるために収穫を午前3時に行う。温度管理されたステンレスタンクで発酵する・・・などなど、超近代的設備と技術を駆使するオーパス・ワン。本家ルイ・ロデレールの製法にこだわるロデレール・エステートやフランスの伝統的な製法を守り続けるキスラーのようなワイナリーも存在します。カリフォルニアはありとあらゆる造り方を導入・実践している土地だといえるでしょう。

カリフォルニアのワイン造りがこれほどまでに進化している理由は何でしょう?
アメリカは、フランスやイタリアなど、ワインの伝統国に定められているようなルールが少ないため、基本的に造りは自由。伝統がないことから逆に、“良いものは何でも貪欲に取り入れる”というアメリカが持つ気性が大きく影響しているのかもしれません。 今では世界中のワインメイキングに普及していますが、醸造にステンレスタンクを使用するようになったことも、実はカリフォルニアが発祥。これによって世界のワイン産業が飛躍的に近代化するきっかけとなりました。
ちなみに低温発酵もカリフォルニア生まれです。 農業テクノロジーについて言えば、バクテリアの検査はDNAレベルで分析、畑の管理にNASAの衛星を利用するなど、様々な点においての高度な発達が挙げられます。醸造学分野において世界的に有名なカリフォルニア大学デイヴィス校をはじめ、醸造学科のある大学が数多く存在、栽培・醸造関連の研究も盛んに行なわれています。

設備の充実に加えて、畑での製法もどんどん進化を遂げています。カリフォルニアは、ワイン以外の作物や製品も含めてオーガニックの概念が根付いた土地。1980年代〜急速にワイン造りが進められた結果、農薬や化学肥料の影響を受けやせた土壌とフィロキセラなどが深刻な問題となりました。そんな自然の傷ついた姿に疑問を持った生産者たちが、独自に小規模ながら丁寧にオーガニック農法を取り入れています。カリフォルニア州の定める厳しいオーガニック認証を取得するワイナリーも多くあります。

ビジネス、マーケティング、アメリカを象徴してきたそんなキーワードは、彼らのワイン造りにおいても欠かせないものです。ナパ・ヴァレーのプレミアム・ワインを巡るのは有名建築家の作品にも出会えるチャンス。ヘルツォーク・アンド・ド・ムーロンの設計したドミナスのワイナリー(壁はワイヤーで包まれた石で、自然の風が吹き抜けます)。この上の写真は、まるで宇宙船が降り立ったような不思議な造形のオーパス・ワンの建物。豊かな資本が実現した贅沢なワイナリー群です。

また、2004年にアメリカで「サイドウェイ」が公開されて以降、どのワイナリーもこぞってピノ・ノワールを造りはじめ、ピノ・ノワールが一大ブームになったといいます。その後、カベルネよりもまろやかで飲みやすい「メルロ」人気も起こりブームになったとそうです。さらに最近ではゲヴェルツトラミネールやリースリングの栽培も盛んです。コンシューマー、消費者が求める味わいに応える柔軟なマーケティングもカリフォルニアらしい点です。

映画監督コッポラのワイナリー、ルビコン・エステートではかねてから一流コンサルタントを起用してきましたが、最近では、ボルドーを中心に活躍する天才醸造家、ステファン・デュルノンクール氏を起用しています。世界最大ワイン消費国・アメリカのマーケットを狙ったルイ・ロデレール、マム、ディアジオモエヘネシーなど海外資本も数多く参入。
上記のような有名生産者の進出が象徴するように、世界中のワイン業界から資本と技術を引き寄せ、現地の農業と研究分野、その関連産業、ワイン・マーケットが一体となってワインは一大産業に発展しつづけています。
資本金やアイディア、人材等を駆使し、良いものはどんどん取り入れる合理性を持つカリフォルニア。だからこそ、たゆまず進化を続けています。

常に進化する激動の産地・カリフォルニアは、世界的に見ても独特の環境と言えます。ワイン伝統国と比べ歴史が浅いながらも、多くのプレミアムワインを生み出すカリフォルニア。その底力はこうした様々な要因にあると言えます。そしてカリフォルニアワインの凄さは、そのクオリティと美味しさが証明しているといえるでしょう。 ぜひカリフォルニアワインを飲んで、カリフォルニアのあふれるパワーを実感してみてください。

 

 

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